二草庵摘録

本のレビューと散歩写真を中心に掲載しています。二草庵とは、わが茅屋のこと。最近は詩(ポエム)もアップしています。

骨を食べる

2012年12月20日 | Blog & Photo
「つぶやき」欄でマイミクいーさんにレスを書きながら、ある光景が、沼の底から浮かんでくる泡のように、わたしの記憶に甦ってきた。それは6、7年前の斎場での出来事。わたしは身内の葬儀に列席し、そのあと、斎場へついていった。亡くなったのはわたしの義母。義母の骨がお釜から出てきて、その骨を拾い、骨壺に納めるというとき。二女がハンドバッグからハンカチを取りだし、骨壺の骨とは別に、二、三片の骨をつつんで、バッグに入れた。 長女=妻が「どうするの、その骨」と妹に訊くと、「お守りに入れて、肌身はなさず持ち歩く」と彼女は応えた。しかし、それだけではなかった。 骨のもろい部分を口にふくみ、バリバリと食べて、飲み下した。 . . . 本文を読む
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2012年ベストセレクション第5回「片隅の小さな世界」

2012年12月19日 | Blog & Photo
このシリーズは以前撮影していた昆虫写真の続編にあたる。わたしの主要テーマ、関心はあのころとは違ってしまったけれど、気温が30℃をこえるような夏が近づくと、カメラを携え、虫たちに遇いにいきたくなる。昆虫たちは、風土あるいは風景の最小単位といっていいような存在である。 もっとはるかに小さな微生物のような構成要素もあるけれど、そこまで小さいと、顕微鏡、電子顕微鏡を介在させなければならない。一般的なマクロ(マイクロ)レンズを使用して撮影可能なサイズは、おおよそ0.5cmが限度。シジミチョウやハチ、ゾウムシなどがこれにあたる。一枚目はオオセイボウといって、ハチの仲間。ハチの仲間ではルリモンハナバチと出会って、撮影したことがある。 . . . 本文を読む
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2012年ベストセレクション第4回「草木図譜」編

2012年12月18日 | Blog & Photo
「これは!」という一枚が撮れたのか、とれなかったのか、微妙な1年だった。現在は「草木図譜 Part9」が進行中。大げさないいまわしで気が引けるけれど「草木図譜」は、一応ライフワークのつもりで撮り続けている。 普段着の花や木。あまり耽美的なショットは狙わず、図鑑的に撮ろうと心がけてはいるけれど、ついアートフィルターに頼ったり、ボケを効果的使おうと、雑念が頭をもたげたり(笑)。単調・単純な写真ばかりでなく、いくらか変化をもたせたいという意図があるからである。一枚目は、仕事の空き時間をみはからって、大利根の河原を散歩しているとき出会った草の実。これまで何度も書いているように、わたしはこういう写真の魅力を「私の回り道」のかぜくささんに教えてもらった。 . . . 本文を読む
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2012年ベストセレクション第3回「街角/人物」編

2012年12月16日 | Blog & Photo
たった1年だけれど、わたしはかなりの枚数を撮っているので、そこから2枚セレクトするのは、そうなまやさしいことではない。作者ではあっても、気持ち=心理状態に微妙な変化が生まれるからだろう。そのときは「いいな」と判断していても、数週間後、数ヶ月後には「なんだ、ありきたりじゃない。たいしたことねえぞ」とがっかりすることはよくあるし、その逆もある。時間がたつほど、じんわりと味がしみてくる。そういう写真だって存在する。ん?それじゃ、おでんですね(笑)。まあ、トップの一枚は、わたしが勝手に今年のベスト1に推したいと考えている作品。このときの日記にも書いたように「ああ、この写真を撮るために、今日はここへきたんだ」と、撮影直後に素直に感じることができた。 . . . 本文を読む
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初冬のカメラ散歩 本庄市児玉町編

2012年12月15日 | Blog & Photo
長らく強力な冬将軍が日本列島に居座っていた。しかし、それもどうやら一段落したらしい。今日は冬型の気圧配置がゆるんで、寒風も吹かず、外套なしで外歩きできるような温かさ。連休2日目の13日(木)も、比較的おだやかで、街歩きにはうってつけの日和となった。ふと思い立って、本庄市のBOOK OFFへいきたくなった。小さな店だが、クラシック音楽CDがそこそこ揃えてある。じゃちょっと足をのばして、児玉町を歩いてこようという気になった。JR八高線という、ごく地味なローカル線が通っている。温かいとはいっても、もう冬。陽がぐっと傾く3時半すぎには、寒気が足のほうからのぼってくる。アルバムのコメントで書いておいたように、児玉町の給水塔を見られたのはラッキーだった。 . . . 本文を読む
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一族参集 ~はるかな歳月

2012年12月14日 | Blog & Photo
この一枚は「わが家の家宝」といっていいような写真なのである。まあ、ほかには貴重品らしきものがなーんにもないから・・・ですけどね(笑)。 撮影年月日は不明。わが直近のご先祖たちが写っている。いちばん左が、善太郎さんといって、わが家系のご本家のご当主。その右が、次男でその後隣りに分家した祖父がいる。祖父喜四郎はこのときまだ独身。真ん中で椅子にすわっている、性格のきつそうなおばあちゃんが、わたしの父方の曾祖母ということになる。この曾祖母はわたしが生まれたころ亡くなっているので、写真でしか知らない。わたしの父は来年そうそうに88歳となる。そこから推定し、この一枚はおよそ90余年まえの写真ということになる。後ろに立っているのは、祖父の8人の兄弟姉妹。祖父の時代の一族が、ここに参集している。写真というもののすごさ! 写真の記録性とは、こういう力のことを指すのだろう。90余年まえの空気や人が、冷凍保存され、化石化している。この「化石」は、わが家系にとってはとても貴重なものである。 . . . 本文を読む
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2012年ベストセレクション第2回「街撮り/街角」編

2012年12月13日 | Blog & Photo
今年もいろいろな出来事があった。とくに猛暑が9月に入ってもつづいたので、いくらか調子をくずされ、2ヶ月あまり、ほとんど写真を撮っていなかった。とはいえ、カメラを手にしたわたしの「昭和ロマン」探索のショート・トリップを、とぎれとぎれに続けることができたことを、だれかに感謝しなければならないだろう。運がいい、悪いといういいかたがある。運を味方につけないと、「いい写真」が撮れない。あるいは「運命はみずから切り開くもの」という警句がある。それも一理あるけれど、なかなかそうは問屋が卸さなくて、四苦八苦したりしている。しかし、傑作・佳作ばかりを集めたらアルバムがおもしろいかというと、どうもそんなに、ことは単純ではないだろう。つなぎの3枚があって、4枚目が生きて、眼に飛び込んでくる。そういう経験を、これまでずいぶんしている。 . . . 本文を読む
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2012年ベストセレクションスタート 第1回「働く自動車」

2012年12月12日 | Blog & Photo
いよいよ2012年を回顧する時季がやってきた。クラシック音楽はたんなる受け身なので、今年のベストを選んでもあまり意味がない。文学など読書は詩を書くことをもっぱらやっていたので、これはいずれ、何らかの形で、詩集をまとめるつもりでいる。・・・というわけで、昨年にひきつづき、フォトアルバムの中からのベストセレクション。すべてのジャンルから5枚、あるいは10枚というなら1回で済んでしまう。だけど、ここではジャンル分けをし、このおよそ1年間に撮影した写真を振り返りながら、簡単なコメントをつけていこうとかんがえている。ジャンルは以下のように11分類し、2枚づつアップまたは再アップしてみる。1)働く自動車2)街撮り/街角編3)街撮り/人物編 . . . 本文を読む
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いよいよ師走モードへ突入

2012年12月11日 | Blog & Photo
縁側の日溜まりで寝ころんでいるテンちゃんを見ていると「あー、おれも猫になりたい!」な~んて衝動に駆られる。わたしにとって、日溜まりの猫=幸福のイメージ・・・ということは、以前の日記にも書いた(^^;)後生楽を決め込んで、なんにも用事のないテンちゃんは、一日中ごろごろしている。 「いま、どこが温かいか」が、よくわかる。夕方になったら、コタツかストーブ(灯油の)の前の一等席に陣取る。「極楽、極楽(^-^)」とばかりに。 縁側のガラス戸を開けてカメラを近づけたら、じゃれようとして手を出してきた。WBをAUTOのままE-P3で撮影したら、ご覧のように青みの強い画像となってしまった(=_=)今日で12月の家賃精算業務が終る。お歳暮配りが少し残っているけれど、一両日で片がつく。 . . . 本文を読む
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「風車小屋だより」のかたわらで(ポエムNO.99)

2012年12月09日 | 俳句・短歌・詩集
ラン! プラン フラン ラン! プラン フランとスキップしながらきみは走っていった。三つ編みにした髪が肩で楽しそうに躍った。ラン! プラン フラン ラン! プラン フランラン! プラン フラン ラン! プラン フランと。やつしろ草が生い茂る礫(こいし)ばかりの山道。えにしだの香が山峡(やまあい)の空気をとても清浄にしている。赤い靴 赤いいベストと白いブラウス白いスカートがぼくのまぶたの裏でいまも躍っている。楽しさは永遠につづくと おもったわけではないけれど。山羊のルノードばあさんはオオカミにくわれてしまったけれどきみもぼくも 永遠のいのちをさすかったと初夏の木々がぼくたちを祝福しているみたいで。 . . . 本文を読む
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