二草庵摘録

本のレビューと散歩写真を中心に掲載しています。二草庵とは、わが茅屋のこと。最近は詩(ポエム)もアップしています。

寝返りを打つだけで  2022-16(10月5日)

2022年10月05日 | 俳句・短歌・詩集
       (2012年12月撮影)



ああ そうだったのか。
夢をみていたんだね 昨日か一昨日まで。
何もかも夢だった と思うと気持ちがラクになって
受け入れることができる

自分の「半生のようなもの」を。
あの数回にわたった民事裁判の記憶すら。
きみやぼくだけでなく
あの人だってこの人だって地球の客。

人間は毎日宴会をひらいているようなものだね
この地球の奥座敷でさ。
一本の管としての人体。
そこを何百という種類の物質が通過してゆく。

そうか そうだったのだ。
ここちよくもてなされて
いつのまにやら寝入ってしまった。
百年二百年がまたたくまに過ぎて

きみもぼくもいったい何歳になったのだろう。
生まれてたちまち消えてゆく雫たちが合唱している。
あの歌声が聞こえるかい?
とっぴんぱらりん とっぴんぱらりん


と聞こえるとき
「と」と「ぴ」のあいだにきみやぼくがいるんだ。
だからもう悲しまなくていい。
寝返りを打つだけで。

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