二草庵摘録

本のレビューと散歩写真を中心に掲載しています。二草庵とは、わが茅屋のこと。最近は詩(ポエム)もアップしています。

その感動、おいくらですか?

2010年09月24日 | 音楽(クラシック関連)
昨日はお彼岸の中日。
土砂降りだったので、墓参りはさぼってしまった。
前日に比べ、気温差12~3℃。
あわてて衣替え・・・といったマイミクさんが多いことだろう。
本日は、ただいまの室温20℃。

ところで、いつも「感動」について書いているようだけれど、
そういつも感動のしっぱなしというわけではないのだ。
買ってきて、音楽を聴いて、がっかり・・・なんて、
これまた日常茶飯事。

たとえば、昨日買ったCDのうち、つぎの3枚を比較しよう。

1.ベートーヴェン 交響曲第9番ニ短調<合唱>
小沢征爾指揮サイトウ・キネン・オーケストラ(2002年ライヴ録音)

2-1.ベートーヴェン 交響曲第5番ハ短調<運命>
サイモン・ラトル指揮ウィーン・フィル(2000年録音)
2-2.ブラームス ヴァイオリン協奏曲 ニ長調
サイモン・ラトル指揮ウィーン・フィル チョン・キョン・ファ(ヴァイオリン)

この2枚が、どうしたことか、まったく「感動」のない演奏なのである。
コンサート会場にいれば、おそらく感動しただろう。
とくに「第九」は、あの数百人規模からなる演奏の臨場感はとてもCD経由の自宅スピーカーでは再現不能なはずである。
わたしがいいたいのは、そのこととは違う。
そういう臨場感ははずして、すぐれた演奏ならCDを通して当然つたわってくるべき、その感動があまりつたわってこない。

ミスのない演奏なら、それでいいのか?
この2枚には、ミスを恐れるあまり、「無難に乗り切ろう」という配慮が優先してしまって、演奏家の燃焼度が不足している。わたしには、どうもそう思われる。
ラトルといえば、現代を代表するマエストロ! チョン・キョン・ファといえば、これまた人気抜群のヴェルトオーゾ! であろう。
しかし、こういった褒めことばが、しばしば空転してしまうこともあるのだ・・・とは、あたりまえの出来事で、そこに再現芸術としての音楽というものの深淵があるかもしれない。

もう一枚はこれ。
1-1.ベートーヴェン エグモント序曲
 クリスティアン・ティーレマン指揮ミュンヘン・フィル(2005年ライヴ録音)
1-2.ブラームス 交響曲第1番ハ短調
 クリスティアン・ティーレマン指揮ミュンヘン・フィル

ティーレマンは好調であったので、少しほっとした。味が濃くて、たっぷりしたクリア感のある情感のしたたりが見事。いや、単に「ドイツ系」が好き・・・というだけかな? ティーレマンは、もう少し聴きこんでみる必要がありそうである。
さらに、もう一枚がこれ。



250円の棚にあった古いCDが拾いものであった。
ベートーヴェンの第4番、8番のカップリングで、コリン・デイヴィス指揮BBC交響楽団の演奏。1972年の録音とある。8番はなかなか軽快なテンポで、カラヤンで聴きなれた耳の垢を洗い流してくれたせいか、わたしにはもぎたての果物のようにフレッシュに感じられた。シンプル。そして、鋼の鞭のように、よくしなう。押しつけがましくない程度の重厚感をもっている。

その感動、おいくらですか?
すべてをお金に換算できるとは思えないけど・・・もし1万円のコンサートで、なんの感動も得られなかったら、そうとう腹立たしいだろう、というほかない。

その感動、おいくらですか?
安ければ、それでいいのですか?
250円で、10,000円の感動が得られますか?
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