二草庵摘録

本のレビューと散歩写真を中心に掲載しています。二草庵とは、わが茅屋のこと。最近は詩(ポエム)もアップしています。

ブルックナー 交響曲第7番

2010年09月01日 | 音楽(クラシック関連)
相変わらず、ブルックナーに浸かっているのだけれど、
この作曲家について語ろうとすることほど、むずかしいことはない。
少なくともわたしにとっては。
「こうかな?」
と思って聴くのだけれど、しばらくたって、
あるいは別な演奏家で聴くと、ずいぶん違った印象を受け、
先入観のようなものが粉微塵に砕けてしまうのだ。
まあ、クラシック音楽に対する知識も、経験も、幼稚園レベルなのだし、
まして相手はブルックナーである。
1番、5番、7番、8番、9番とCDをもっているので、
その日の気まぐれで、そのうちの1枚か、2枚を聴いて、そして寝てしまう。
そういう夜が何日かつづいた。

1番5番はまだ聴きはじめなので、全体像がさっぱり掴めず、五里霧中。
9番もちょっと怪しいが、このあいだシューリヒトの演奏で、その巨大な楽想の入口のようなところを探し当てた(・・・と本人は考えている)。

ご存じのように、ブルックナーには、非常に厄介な改訂版問題がひそんでいて、
そこに思いいたると頭が痛くなる(=_=)
1.初版群
2.第1次全集版(ハース版)
3.第2次全集版(ノヴァーク版)

それだけでなく、さらにいろいろなヴァリエーションがあるというのだから、
初心者泣かせとはこのことだろう。
たとえば、第8番の演奏時間。
わたしはヨッフム&ドレスデン(76年版)と、カール・シューリヒト&ウィーン・フィル(63年)をもっている。
そのアダージョ第3楽章。
ヨッフム:27分23秒
シューリヒト:21分46秒

これだけ違うと、もう同列には比較できないのではないか?
まあ、第8はシューリヒトと決めてかからず、
いろいろな指揮者の第8を、そのとき、そのときで愉しめばいいといってしまえば、その通りなのだろうけれど。
わたし的には、ひきしまった、推進力のあるシューリヒト盤を聴くことがいちばん多く、目下の最高の1枚はこれで落ち着きつつある。

ところが、7番。これまでヴァント&ベルリン・フィル盤(99年)と、「マタチッチ・ラスト・レコーディング」と銘打たれたスロヴェニア・フィル盤(84年)をもっているけれど、
どうにも、納得しきってはいない。マタチッチからの感動のほうが上なのは間違いないのだが、ほかにもっと、すばらしい(わたしにとって・・・)演奏がありそうな気がする。

で、このあいだBOOK OFFで見かけたシューリヒトの1枚を買ってきた。
ところが・・・おや?
買ってきたCDは、シューリヒト&ハーグ・フィル盤ではなく、シューリヒト&コンセール・コロンヌ・フィル盤だったのである。

CDには、1956年5月14日 ボルドー音楽祭:ライヴ録音――と書かれていた。
こんなのもあったのね(笑)。

しかし、この演奏、観客の咳き込みや雑音がけっこう聞こえ、その割に臨場感はいまひとつながら、決して悪いというのではないぞ。シューリヒトは管楽器の扱いにすぐれているようで、ラッパたちは、じつに印象的で聴くものの胸をえぐる。

かなり年老いたひとりの男が、そこにいる気配。その存在感たるや、すばらしいものがある。これは、ブルックナーのものか、シューリヒトのものか?
むろん、シューリヒトが、錯綜した複雑な楽譜のなかから曳きだしてきた「音楽」に違いはあるまい。第3楽章スケルツォ開始における金管の咆吼はマタチッチのほうが迫力大。だが、この寂寥感をたっぷりと滲ませたシューリヒト盤もすてがたい。
2度聴いて、そんな感想をもったところだ。

だが、しかし。ふーむ。どれも「わたしの定番」とするには、
まだ何かがたりない。カラヤンがウィーン・フィルとやったラスト・コンサートも気にかかるし、そうだ、朝比奈さんもいるぞ!というわけで、「ブル7」への思いは千々に拡がってやまない(*_*)

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