二草庵摘録

本のレビューと散歩写真を中心に掲載しています。二草庵とは、わが茅屋のこと。最近は詩(ポエム)もアップしています。

スイカを食べる(ポエムNO.2-64)

2015年08月02日 | 俳句・短歌・詩集
気温が三十四度 五度を超えるような猛暑となると
スイカが食べたくなる。
スイカ味のジュースとか スイカアイスとか
そういう偽物じゃなくて
よく冷やしたスイカ あの三日月型に切りわけた果物に 

きみは大口をあけてかぶりつく。
果汁をたらさずに食べきるのは多少のコツがいる。
タネを上手に吐き出す むろん上品に手のひらで受け止めたっていいけれど。
お作法や流儀は決まっていない タネごと呑み込んでも
だれからも苦情はいわれないだろう。

もし洋服やカーペットを汚してしまう心配があるなら
取り皿を用意し スプーンでサクサク
掬って食べたらいいだろう ぼくもよくそうする。
ちょっと鼻歌を歌うようにしながら。
みるみる細胞にしみわたっていく さっぱりした甘さのひと掬い

ひと掬いの涼味に舌つづみを打ちながら
打ちながら
きみもぼくも この夏を実感し
どこかずいぶん遠いところから たったいま 日本の夏に返ってきた
・・・と気がついたりするんだ。

まるごといっぺんに食べられるわけじゃなく
小銭を手にして
四分の一とか 八分の一とか
そういうサイズに切り分けたスイカをスーパーか八百屋で買ってくる。
そのスイカを「だれと食べるのか」。

それがスイカとおなじく
大事な問題だな
だれと食べるかによって この好物の味
・・・というものが微妙に違ってしまうから。
さて この夏。

だれと何回そのスイカにかぶりついた?
ねえ きみ。
きみにはスイカ好きの友達がある。
両親や息子もいるんだぜ。
いないなら どこからかつれてくる。

そうしたら きっと
スイカはもっとうまく 甘くなる。
恋びとと食べるスイカ 猫と食べるスイカ。
こんな果物がこの世にあることを神様に感謝しながら
ね。



※画像はお借りしたものです。ありがとうございます。

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