二草庵摘録

本のレビューと散歩写真を中心に掲載しています。二草庵とは、わが茅屋のこと。最近は詩(ポエム)もアップしています。

すさまじい暑さの鍋底で  2022-13(8月3日)

2022年08月03日 | 俳句・短歌・詩集
   (2014年7月 撮影)



「まだ21世紀になったばかりじゃない」
そういって黙り込んだ彼女のかたわらで
ぼくも黙り込んだ。
まだ21世紀なのか もう21世紀なのか。

そのひとことにつづけて
いいたいことは山ほどあるのだ。
彼女もぼくもそれぞれのもの思いに沈む。
「美しい花がある

花の美しさという様なものはない」
かつてそう書いた批評家がいた。
だから写真を撮っているのだ たぶんね。
観念論から遠くへ歩くこと。

ほら ナミアゲハが翔んでいる。
ほら 激しい稲妻が昏い空を切り裂いて走る。
ほら スーパーで買ったスパゲティーが茹であがる。
ほら モーツァルトのピアノ・コンチェルト24番がきこえる。

説明はあっても邪魔にはならないので
皆さんが懸命に説明しようとする。
そして混線するのだ。
正解なんて もともとないのかもしれないなあ。

ほら
ほら
ほらね
といえるだけなのだ。

写真を撮るとはそういうことだろう。
ほら見てごらん。
すさまじい暑さの鍋底で
皆さん仲よく茹でられているのを。



※カッコ内=小林秀雄「当麻」より

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