二草庵摘録

本のレビューと散歩写真を中心に掲載しています。二草庵とは、わが茅屋のこと。最近は詩(ポエム)もアップしています。

北風のロンド(ポエムNO.2-69)

2016年01月11日 | 俳句・短歌・詩集
北関東で生まれ 北関東で暮らしている。
なにか必然性があった・・・というのではない。
偶然の緋や碧(みどり) あるいは
白糸 黒糸が無数にからまりあって
その結果として 
いま ぼくはここにいる。

しっぽのない獏が銀色の夢を食べている。
校庭の端っこには目ヤニをこびりつかせた小さな象がいる。
ブルックナーが足を痛そうにひきずりながら
路地の奥へと消えたあと
ぼくはしばし沈思し 黙考してすごした。
砂塵にまみれたりしながら。

陽が昇り 陽が沈む
惑星の運行のなんという正確さだろう。
ぼくの記憶の底の河岸段丘。
氾濫は何度も起こって
崖をけずりぼくの感情をけずった。
思想はときに濁流となることがあるから。

・・・押し流されまいと なんにでもしがみついて生き残る。
瀬戸際であろうがなかろうが 人の世の風波には頓着なく
陽が昇り 陽が沈む
惑星の運行のなんという正確さだろう。
無為にすごした一日の終わりに
夢のとばりが下りてくる。

長いながい交響曲を書きおえた作曲家のように精魂尽きはてて
・・・はてて
数日間茫然として暮らしたことがあった。
通りかかった若い女の尻を追いかけたり
苦すぎるブラック・コーヒーのカップの中で溺れたり
意味もなくおーい! と叫んだりする。

そしてつぎの日
F・カフカが出てきた夢の底から身を起こす。
陽が昇り 陽が沈む
惑星の運行のなんという正確さだろう。
北風の輪舞(ロンド)に身をまかせ
踊ってみようか いましばし。

・・・いま しばし。

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