二草庵摘録

本のレビューと散歩写真を中心に掲載しています。二草庵とは、わが茅屋のこと。最近は詩(ポエム)もアップしています。

阿部昭「大いなる日」「司令の休暇」(講談社文芸文庫)

2018年08月17日 | シャッフル/books
阿部昭さん、よかったなあ♪ 
この二冊は“内向の世代”の秀作という位置を、確固としてしめている。

戦争に敗れ、人生にも敗れた男の悲哀が、抑制の効いた秀逸な文体によって、徐々にあぶりだされる。そうだな、敗残の人生とはそんなものだろう・・・、息子にしか見えなかった父の後ろ姿が、読者の心をゆさぶらずにはおかない。
涙を押しころした、愛憎相半ばする、訥々とした父と子の物語。

先日、八月十五日に「大いなる日」だけを読み返した。
わたしは保守的だから、こういうものに弱い(^^;) 

安岡章太郎さんと似て非なる、豊かな文学世界を創造しえている。
岩波新書からは「短編小説礼賛」(1986年)が刊行されていて、こちらも愛読し、短編の妙味を教えてもらった(^^)/ 

類書はいろいろとあるが、わたしにとってはもう一度読み返したい本の中の一冊。

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