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二草庵摘録

本のレビューと散歩写真を中心に掲載しています。二草庵とは、わが茅屋のこと。最近は詩(ポエム)もアップしています。

やがてロープの端から(ポエムNO.81)

2012年08月19日 | 俳句・短歌・詩集

凍った炎のような美しすぎる音楽から覚めて
テーブルの反対側へと移動する。
A地点から B地点へ。
それだけできょう一日の風景が違ってみえる。
走れ はしれ
きみも絶滅危惧種。
走れ はしれ。
夕陽から夕陽へと 一本のロープをしずくのように渡って わたって。

走れ はしれ!
北京原人に追いつく夢など捨てて。
ナウマン象にも 北斎にも追いつけっこないのだからね。
・・・おとといのきみ自身にすら。
走れ はしれ
疲れはてて倒れ 一握りの砂をつかむように
“明日への希望”をつかむことだってある。

走れ きみはヤブガラシの花粉になるだろう。
走れ きみは濃縮されたトマトジュースになるだろう。
走れ きみははき古された一足のスニーカーになるだろう。
走れ きみはオールをなくして漂うボートになるだろう。
走れ はしれ!
あの水音がやってくる方向へと。
ひからびたイモムシのような姿になっても。

やがてロープの端から
一滴のしずくとなってしたたるとき。
一滴のしずくは べつなしずくと混じり合い
小川となり 渓流を下る。
山間部を縫うように曲がりくねって。
きみはこの地上から姿を消し
モルダウのような大河が成長していく。

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