おぼろ月

満月のはずなのに、



月は、雲に隠れてかすんでいた。
普段だったら月が隠れてしまうくらいの厚い雲だけど、今日は満月、月の光が強いので、厚い雲の向こうで光っていた。

「お月見しよう」とKenjiとニコとで散歩に出た夜８時半。
残念だけど、月はおぼろで、ススキもないし、お月見団子もない。
それでも、夜風はひんやりと肌寒く、日本の秋をちょっと思い出させる。

秋なんだなあ、日本は。
そろそろ、栗の季節。

栗きんとん、食べたい！


ハワイにいても、食欲で秋を感じるわたしなのでした。

つがいの鳩

仕事中、ちょっと外の空気が吸いたくなった時に行くのは、ビルの駐車場の屋上。

ここにはたくさんの鳩が住んでいる。
ほとんどが白い鳩。


先日のこと。

太陽の光をいっぱい浴びたかったので、屋上を１周した。

「わっ！　汚い！」
いつもは行かないスペースに、フンがいっぱい落ちている。
そこにいた２匹の鳩はガリガリにやせて、羽根も薄汚れている。

フンの量からすると、たぶんここを常宿にしているのだろう。
もう飛べないのか、コンクリートの上をチョンチョンと歩いているが、小さい段差は乗れるみたいだし、落ちてるなにかをついばんで、機敏な動きもできるところを見ると、病気ではないみたい。

２匹で小さなスペースをチョコチョコと動き回っている。
ツガイかな。もう年なんだろう。

「ワイキキの真ん中で、事故にもあわず、２匹で年をとるまで一緒にいられたなんて良かったねぇ。」

ビルの屋上で生活しているから安全なんだろうか。
公園でも鳩を見ることは多いが、こんな風に年をとった鳥は見かけたことがない。

「２匹で長生きできるといいね。」

年をとって、動きが鈍くなって、食べられるものもなくなっていく。
自分に置き換えて考えるとぞっとするが、これが自然というものなんだろう。
一番自然な現世からのフェィドアウト。

その時に、誰かが一緒にいるということは幸せだよね。



あたたかい陽の光を浴びながら、壁にもたれてしばらくこの光景を眺めていた。

最初、「汚くてかわいそう」と思った２匹の鳩は、光に包まれて「きれいでとても幸せ」な存在に見えた。


わたしもこんな風に、静かで幸せな最後を迎えることが出来るかな？






Ｋｅｎｊｉ　？　うーん、どうかなあ。