猫田ジャレの 『 天然!にゃー語 』

~ 見ネコ聞くネコ言うネコの とびきり天然な日常 ~

和田登作品2

2008年04月16日 | 本・文学・取材等
●『星空のバイオリン』 

バイオリン作りに情熱を傾ける一人の青年の、実在の人物をモデルにした物語。
時代は第二次世界大戦へと突入し、青年も戦地へ赴くが、バイオリン作りへの思いは色あせることなく、無事戦地から生還し、立派な製作者になるというお話。
ちょっぴり悲しい結末も用意されており、それがやや残念である。


●『思い出のアン』 

第二次大戦中、長野市郊外にある療養所の敷地内で、牧師を父に持つ少年とカナダ人医師の美しい一人娘との交流を、家族や回りの人たちを含めて描く、美しい物語。
次第に戦争が色濃くなる中、外国人やキリスト教関係ということで迫害を受けつつ、たくましく生きていく人々の姿が胸を打つ。
ラストで少女は旅立つが、希望が見える。
これまで読んだ和田作品の中で、唯一明るい希望と未来の見える、すがすがしい作品だった。


ここまで読んでみると、戦争を扱った作品が多いことに気がつく。
作者のまじめで情熱的な姿勢がうかがえる、重厚な作品ばかりである。

さて、たくさんあった和田作品も、残りは2作品となった。続きはまた、読んでからということで、お楽しみに~♪

和田登作品1

2008年04月16日 | 本・文学・取材等
前回「しばしのお別れ」→(森絵都作品のつもりだった)なんてタイトルにしたせいか、ブログまでしばしのお別れ、になっちゃって、約一ヶ月もご無沙汰しちゃいました。しーません・・・


その間、知人からどっさり貸してもらった和田登作品を読んでました。


●『悲しみの砦』(写真左)

第2次世界大戦末期、松代(長野市郊外)の地下に秘密で掘られていた大本営(天皇の御座所)をめぐり、朝鮮人労働者、松代地区の人々などの当時のことを念入りに調べ上げる作者のノンフィクション。
その、取材の根気のよさに頭が下がる。


●『キムの十字架』(中)

同じく松代大本営地下壕を掘らされていた朝鮮人労働者の兄弟の美しく悲しい物語。じーんとなった。


●『アンネのばら咲くとき』(右)

「キムの十字架」を題材に学園祭で創作劇に取り組むある中学生のクラスの奮戦記。
何気ない中に個人の生徒の問題も取り上げられており、20年前に書かれたのに古さを感じさせず、ぐいぐい読める。
クラスを指導する熱血教師や、その父でアンネのバラを育てる祖父の話なども盛り込まれていて、事実を基にした巧みなストーリー作りが素晴らしいと思った。


つづく。