ないない島通信

「ポケットに愛と映画を!」改め。

「半分、減らす。」川野泰周著

2023-07-12 14:50:16 | 片付け

「ミニマリストをめざそう!」というシリーズで片付けについて書いてきましたが、

(最近、猛暑のため片付けサボり中です)

今日は、この本を紹介したいと思います。

「半分、減らす。」(川野泰周著 三笠書房)

川野泰周氏は、精神科医・心療内科医であり、臨済宗建長寺派林香寺住職、という変わった肩書をお持ちの方です。

著者の経歴も面白いし、精神科医として、また禅宗のお坊さんとして、片付けをどのように捉えているのかと興味がわき、読んでみました。

Kindle読み放題に入っています。Kindle読み放題、ありがたし。

まず最初にほうっと思ったのは、この文章でした。

「『捨てる快感』と『手に入れる快感』は似ている」

え、そうなのか??

これまで、私はいろんなミニマリストや断捨離の本や動画で、

持ち物を半分減らせば、いや8割減らせば、人生が変わる、好転する・・

と言われ、そういう説ばかりを見てきたのですが、

実を言うと、ミニマリストたちが異口同音に言っていたことがあります。

モノを捨て始めると「捨て魔」になる、つまり「捨てることの快感」に目覚める。そうすると、ちょっとでも不要なモノは即捨てたくなる・・

そして、私たちが生きていくのに必要なモノというのは、

100個もあれば十分である、というような結論に達する・・

これがミニマリストたちが究極的に行き着く姿のようです。

なので、彼らの家の中は文字通りガランドウ。何もない。椅子もテーブルもソファーもない。食器すら必要最小限のものだけ。衣類に至っては数着を着まわす。実にシンプルの極み。

でも、それって本当なのか?

そんな旅先のホテルのような場所で毎日暮らすことが、本当に幸せなのか?

映画「ノマドランド」のノマドたちですら、もっとモノを持っている。

こうした疑問が、私の中で(実をいうと)渦巻いていたのですね。

そして、モノを捨てると、本当にお金持ちになったり人生が好転したりするのか??

この本の中で、川野泰周氏はこう言っています。

「物を持たないのがカッコいいとのポリシーのもと、極端に物を減らし、なかには人間関係までスパッと、まるで服についたホコリや糸くずを払うかのごとく切り捨てる人がいます。

 捨てることの高揚感から、人間関係においても勢いにまかせ、「つい、やりすぎて」しまうわけです。

 でも、本当のところは、心が追いついていないことにご本人は気づいていません・・」

つまり、

「ミニマリストという言葉を使って「人と向き合うことをしない選択」をしているということです」

と言い切っておられるのです。

なるほどなあ、と思いました。

ミニマリストというと、カッコいいイメージですが、イメージが先行してしまうと、思いがけない落とし穴が待っている、というわけ。

そして、著者は言います。

自分に「待った!」をかける習慣が必要だと。

私たちの心はシーソーのように揺らいでおり、躁状態と鬱状態を繰り返す。治療が必要なレべルではなくとも、誰しも軽い高揚感と憂鬱な気分の間を行き来している。なので、バランス感覚が大事・・

「買う」にしろ「捨てる」にしろ、テンションをあげすぎる傾向が最近見られる。現代が「不安」に満ちた時代だからではないか、

川野氏はそう言い、

「そうした不安な心を防御するために、あえてテンションをあげる。これを「躁的防御」というが、簡単に言うと「依存症」である・・」

つまり、買い物依存やアルコール依存と同じく、捨てる快感に目覚めるというのも、一種の依存症だ、と言い切っているのですね。

目から鱗の発想でした。

なるほど、そうだったのか!

この本には他にも禅宗の僧侶であり、なおかつ精神科医としての見方がいっぱいあって、

ものすごく参考になります。

私たちは自分の行動が本当はどこから来ているのか、たとえそれが快感を伴うものであったとしても、一体その快感の源は何なのか、見極める必要がありそうです。そして、一度立ち止って、

自分に「待った!」をかけてみてほしい、

と著者は言います。

断捨離、片付け、大いに結構ですが、

やっぱり何事もほどほどに、がいいようです。

 


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