宇宙飛行士の映画を紹介します。
「ミリオン・マイルズ・アウェイ/遠き宇宙への旅路」(2023年アレハンドラ・マルケス・アベジャ監督 アメリカ)
これは、NASAの宇宙飛行士ホセ・ヘルナンデスの自伝を基に作られた映画です。
メキシコから移民としてアメリカに来た家族の子どもが葡萄園で葡萄の収穫作業をしながら、
宇宙飛行士をめざす、という話です。
よかったのは、とにかく明るいこと。
ホセの小学校のクラス担任のヤング先生はホセにこう言います。
「君にはすごい力がある。誰にも止められない」
ホセの父親はどんな艱難辛苦にあっても文句ひとつ言わずに働きます。レシピがあるんだ、と父親は言います。
①目標を見つける。
②目標までの距離を知る。
③方法を考える。
④分からなければ学ぶ。
⑤ゴールが見えたらもっと努力する。
ホセは父親のいうレシピに従って、宇宙飛行士をめざして大学を卒業し、政府機関でエンジニアとして働きはじめます。
でも、最初は清掃員に間違われてしまいます。それでもホセは怒ったり落胆したりせず淡々と仕事をこなしていきます。
ホセの従兄弟のベトは(途中事故で亡くなってしまうのですが)、ホセに言います。
「俺たち移民はよく知っている。未知の世界に飛び込むことを。宇宙飛行士にぴったりの人間だろ」
ホセが宇宙飛行士に抜擢されたときに、ホセはこの言葉を語ります。
とはいえ、宇宙飛行士になるのはたやすくない。
ホセは11回もNASAに応募して断られ続けます。最後に妻に「直接行けば」と言われ、NASAに出向いていき、ようやく採用されるのですが、もっと早く行けばよかったのに、とちょっと思った。
でも11回もの応募という実績があるからこそ、NASAも認めたのでしょう。
でも、実力があってもそう簡単には宇宙には行けない。
これでもかというほど、乗り越えなくてはいけない壁は分厚く高い。宇宙飛行士の訓練は半端なく厳しい。
それでも、ホセは父親のレシピに従って、ただ黙々とその歩みを続けるのですね。
そのまっすぐさがとてもいい。
宇宙を目指す人たちの視線の先にあるのは、はるか彼方の宇宙だからでしょう。
「宇宙兄弟」を繰り返し見たり読み返したりしてるので、宇宙飛行士たちの訓練の様子はよくわかります。
巨大プールでの無重力訓練とか加圧訓練とかジェット機の操縦とか。
これを見て「宇宙兄弟」が実に忠実に事実を再現しているんだなあ、ということもよくわかり、
小山宙哉先生、凄いなあ、と改めて思ったことです。
ともかく、
こうして、メキシコからの移民だったホセ・ヘルナンデスは、
2009年8月、NASAのスペースシャトル・ディスカバリーの乗組員として宇宙に行き、国際宇宙ステーション(ISS)組み立てミッションに参加します。
ホセは移民として初めての宇宙飛行士になったのです。
宇宙好きなら一度は見ておくべき映画です。
”To infinity and beyond.” by Buzz Lightyear
無限の彼方へ~