前回は二重否定の話でしたが、
今日は、最近気になっている短縮形について書きたいと思います。
テレビやYouTubeを見ていると、若い人たちがこう言っているのをよく聞きます。
むずい (むずかしいの短縮形)
ちょっと前まではあまり聞かなかったのですが、最近はけっこう有名人まで使うようになってきました。
外国人に教える日本語文法だと「むずかしい」は「イ形容詞」になります。
形容詞は二種類あって、「イ形容詞」と「ナ形容詞」
イ形容詞は 明るい、暗い、高い、広い、美しい などイで終わる形容詞です。
ただし「きれい」はナ形容詞です。きれいな花、きれいな空気 などのようにナをつけて形容するので。通常の日本語文法では形容動詞ですね。
「むずかしい」はイ形容詞です。
イ形容詞の活用形は、
むずかしい、むずかしくない、むずかしかった、むずかしくなかった
となります。
これが「むずい」になると、
むずい、むずくない、むずかった、むずくなかった
と活用することになります。
むずい、は時々聞くけど、むずくない、はあまり聞かない気がする(私だけか?)。
ちなみに、
「むずい」にちょっと似てるけど、意味が全く違う「ちがう」があります。
「ちがう」は動詞なので活用は、
ちがう、ちがわない、ちがいます、ちがえば、ちがって・・
となりますが、最近は以下のような活用形をよく聞きます。
ちがう、ちがくない、ちがかった、ちがくなかった
「ちがう」のイ形容詞型活用とでもいえばいいか。
誤用ですが、若い人たちはけっこう使ってますね。
イ形容詞の短縮形、むずい が通用するなら、以下の言葉も短縮形で使われるようになるのかしらん。
はずかしい→はずい(これは時々聞きます)
なつかしい→なつい
もどかしい→もどい
いそがしい→いそい
なげかわしい→なげかい
あほらしい→あほい
なんか、あほい話だなあ。そうそう、
きもちわるい→きもい
もよく聞きますね。
スマホを使うようになって言葉の短縮化が進んだのか?
(ネットによると1970年代にはすでに「むずい」はあったようですが)
短縮形は他にも、
「名詞+であるかのように」を「名詞+かのように」
と、「である」を省いて使うのもよく聞くようになりました。
「彼女はまるで女優であるかのように優雅に歩く」という文章を、
「彼女はまるで女優かのように優雅に歩く」となります。
「まるで火の海になったかのように、あたり一面真っ赤だった」は
「まるで火の海かのように、あたり一面真っ赤だった」となります。
これ、私の世代ではものすごく違和感があるのですが、若い人たちはそうでもないようで、いつのまにか
「名詞+かのように」が普通に使われるようになってきています。
言葉は変化するものなので、時代の移り変わりと共に変わっていくのは自然なのですが、
古い世代はなかなか新しい表現になじめなくてね、
日本語がどんどん、
あほい(あほみたいな)言葉になりつつあるようで、なげかい(なげかわしい)ことだと思う今日この頃です。
(今回のタイトルも「日本語はむずい」のほうが伝わるのかしらん)
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