「ヤンのいた島」沢村凛 1998新潮社
第10回日本ファンタジーノベル大賞(優秀賞)
イシャナイ
3つの”もしも世界”も救いは無かった。
第5の世界、そこに希望はあるのか。
4つの世界における、主人公らしき瞳子(トウコ)の存在はなんだったのだろう。
自分の居場所を探していた瞳子には、現実の現実感がない。
P174「国も居場所を探している」
そして、”現実”らしき第5の世界では、瞳子がヤンと出会うことはない。つまり、瞳子が存在しなかった。瞳子なんていないんだ。タタナが作り出した分身なのか。
はっ!第5の世界(選択)では、瞳子はたぶん立派な(婆様)学者になっているだろう。そして、彼女がイシャナイを見つけるのかもしれない。そして、そこにはダンボハナアルキも群れをなす。凶兆と言われようとも、4つの世界よりは”平和”な世界であることを祈りたい。
「甘い」イラつく主人公(らしき)は計算だろう。
作品中に語られなかったが、その第4の世界で瞳子はゲリラと軍の両方から利用されていたのだろう。上手くやったつもりの瞳子だが、そんなに都合は良くないよ。ね。
で、すごく楽しく読めた。
※そこそこ本を出しているようだけれど、wikipediaに作家の表記がない。作家の評価は低いのだろうか。