雪の朝ぼくは突然歌いたくなった

2005年1月26日。雪の朝、突然歌いたくなった。「題詠マラソン」に参加。3月6日に完走。六十路の未知の旅が始まった…。

100201 日々歌ふ

2010-02-01 17:55:05 | 日々歌ふ
吾(あ)も止まり蜜を吸はむか蜂となり春に先駆け咲く白梅に

いちまいの虫喰ふ葉にも果てしなき時の織りなすいのちあふるる

                  *

さす傘にさわさわさわと降り初めし雪のいつしかしんしんと降る


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日々歌ふ1001(62首)

2010-02-01 11:46:55 | 日々歌ふ2010

100103
 混淆の歴史の古く人びとの初詣なす寺社を問はずに
 神仏を信ぜぬ吾も時として祈ると言へり強く願はば
100104
 亡きひとの面影浮かぶありありと賀状書かむと名簿たぐれば
 これでもう十二枚目と記しけり逝きし生徒の母は賀状に
 面影は少年のまま変はらざる早くに逝きし教へ子たちの
100105
 ムクドリにスズメ、ヒヨドリよろこびて枝柿つつく人食まざれば
 大型の色鮮やかなインコ飛ぶ冬暖かき東京に群れ
100106
 ふと見れば厨の小窓明るみぬ真珠のごとに結露の浮かび
                 *
 思い立ち都バスに乗りて荒川の土手に行きみぬ平日午後に
 行き先が荒川土手といふバスの今なほあるを幸と気づけり
 寒風をさえぎるもののなけれども荒川土手の広く清(すが)しき
 水辺ある暮らしに惹かる荒川の堤に人ら憩ふを見れば
 江北の橋から一つまたひとつ橋をめざして歩めば日暮る
 ビル影の狭間に黒き山影の入り陽に浮かぶ富士にしあらむ
100108
 はるかなる海原越えて飛び来る冬鳥もとめ枯野を行きぬ
 列島を憂しとやさしと思はずに飛び立ち来る冬鳥かなし
 極寒の天空高く鳥たちの列島めがけ飛ぶを想ひき
100109 
 先駆けて春告げ咲くや蝋梅の黄花ゆれゐるきらめき香り
                 *
 初めての担任なせし教へ子の五十路半ばとなりにけるかも
 未熟なる教師にあれど若きとき苦もなく子らと親しみにけり
 四十年経ちて尽きせぬ思ひ出に一夜(ひとよ)楽しむ教師と子らで
100112 
 ムーア彫る王と王妃のさびし気に熱海の海を望み座りき
 自らの貌を描きぬ若き日の惑ひ顕はにレンブラントの
100113
 昼歩き夕(ゆうべ)に走る不忍の池畔親(ちか)しき六十路の吾に
100114 
 寒風に向かひ啼きけり海鳥の猫の声して役者の顔で
100116
 冬枯るる見沼の里に紋様も美しかりけり苅田の畝の
 常緑の葉群(はむら)に隠れ目の縁の白き鳥見ゆ愛らしきかな
 陽に青き水面に白き雲ゆれて尾長の鴨のつがひ浮かびぬ
 餌を求め嘴赤き水鳥の岸辺に上がるバンにしあらむ
                 *
 本郷のキャンパス抜けて走らむと行けど閉ざさる入試で門の
100117
 鴨としか知らずに生きて六十路なる吾(あ)が前泳ぐ小鴨愛しき
 名を知りて初めて己が目にぞ入るモノ・コト多き六十路の楽し
 夏に夏冬に冬をば楽しまむ浅川巧教へしごとに
100118
 われら棲む大陸さへも動きゐる証のむごし彼我の結果に
 最貧のハイチの民に追ひ討ちをかくるがごとに震災襲ふ
 先駆けて黒人共和の国建てしハイチのなぜにかくも貧しき
 天災にややも重なる人災の愚かな歴史なほもつづかむ
                 *
 煮魚をマスターせむと鰈買ひ吾妹の留守に試し食みけり
 今ひとついやふたつみつつ足らざりき吾(あ)が試し煮る鰈の味は
100119 
 鳩山の裏に流るる沢荒れて気づけば山を崩さむばかり
 検察を正義の府とは思はねど誰か思はむ小沢清しと
 清新な政治望みしひとびとの期待早くも民主うらぎる
100120 
 時ならぬ小春の午後を荒川に独り遊べばこころ温もる
 金色(こんじき)に水辺ゆらめき影黒く浜鴫ならむ餌を求めゐぬ
100121
 金色の川面に立ちし荒杭の人こそ知らね黒き姿を
                 *
 名にし負ふ長元坊に日に二度も見(まみ)えにけりな見沼の野辺で
 鴉らの多勢に追はれ猛禽の長元坊も空を舞ひ逃ぐ
100122
 今の世にまれならざれど吾が姉の古希としなる日つひに来りぬ
100124
 ―<「没後90年 村山槐多 ガランスの悦楽」(松濤美術館)を観て>
 魂極(きは)る命のあかし二十二で残し逝きたり村山槐多(かいた)は
100125
 ―<内藤礼の個展「すべて動物は、世界の内にちょうど水の中に水があるように存在している」(鎌倉近代美術館)を観て>
 鎌倉に空しき<アート>訪ねけり裸の王様内藤礼の
 これほどに空の空なる<アート>をば、内藤礼よ、吾は知らざり
 マスコミの内藤礼が<アート>への賛辞信ぜし己嗤ひき
 鎌倉の美術館への信頼もゆらぎにけりな内藤礼で
 信ずれば鰯の頭もなんとやら内藤礼の<アート>も然り
100126
 枯野分け春の近きを告げ咲くやオホイヌフグリのちひさき花よ
100127
 倦怠の背にぞ張りつき己が身のおのが身なるをひさびさ厭ふ
 水仙の白き面の空仰ぎ人こそ知らね祈り祈らむ
100128
 君もかのジェノサイドをば生き延びし末裔なるか鶫よツグミ
 冬陽浴び落葉大樹の身悶えて天空高く枝を広げぬ
100131
 初めてのマクロレンズを愛猫に向ければ眼つよく光りぬ
 朴実な李朝の膳に朝光(かげ)の明るき日々のさらに多かれ
 濃き色の家具を背にして花撮れば吾はもどきのメイプルソープ


コメント (2)
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初めてのマクロレンズで 6 泰山木の葉

2010-02-01 11:17:52 | 日々写す

               いちまいの虫喰ふ葉にも果てしなき時の織りなすいのちあふるる


          

                                 1月30日 泰山木の葉、六義園にて
                           <タムロン SP AF90mm F/2.8 Di MACRO>で


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初めてのマクロレンズで 5 梅に蜂

2010-02-01 10:55:32 | 日々写す

                吾(あ)も止まり蜜を吸はむか蜂となり春に先駆け咲く白梅に


          

              1月30日 六義園にて<タムロン SP AF90mm F/2.8 Di MACRO>で


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