雪の朝ぼくは突然歌いたくなった

2005年1月26日。雪の朝、突然歌いたくなった。「題詠マラソン」に参加。3月6日に完走。六十路の未知の旅が始まった…。

<012:噛>から

2006-09-22 23:30:22 | 題詠blog2006から
残生や岩を甘噛む潮騒のおほわたつみをふかぶかときく(みの虫

<残生> は<のこりよ>と読むのでしょうか。
人生の黄昏を迎えた身に、浜辺で聴く穏やかな潮騒は<岩を甘噛む>かのようだというのです。
<おほわたつみ>は<大海神>ではなく、単に<大海>ということでしょう。
太平洋(?)の<岩を甘噛む>潮騒の、途切れることもなく、あたかも永遠に続くかのような響きを、作者は自らのはかなく限りのある<残生>を思いながら<ふかぶかと>聴いているのです。
一昨年、故郷の福島の海で潮騒を聴いた情景がありありと甦りました。

                         *

磨り減つてゐるのでせうね 噛みあはぬ歯車だからゆつくり止めた(村本希理子

<磨り減つてゐる><噛みあはぬ歯車>。
夫婦の関係でしょうか。
長年の友人関係でしょうか。
いずれにせよ、このままの回転を続ければ、いつか決定的な破綻は避けられません。
だからといって、急激に回転を止めれば衝撃が大きすぎて、すべてが一瞬に壊れてしまうかも知れないのです。
<だからゆつくり止めた>のですね。
この歌のリアリティをぼくはそう感じて、打たれました。

初心者のぼくには、こうした<希理子ワールド>の<現代短歌>の解釈はあいかわらず難しいのです。
もしまったくの見当違いでしたら、お笑いください。

コメント (4)
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

060922 日々歌う

2006-09-22 18:56:39 | 日々歌ふ
道の端に赤き花弁の異形なる彼岸の空を仰ぎて咲かむ

こんもりとトトロのごとに繁り立つ金木犀の花に覆はる

コメント (4)
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする