雪の朝ぼくは突然歌いたくなった

2005年1月26日。雪の朝、突然歌いたくなった。「題詠マラソン」に参加。3月6日に完走。六十路の未知の旅が始まった…。

<011:からっぽ>から

2006-09-20 10:06:06 | 題詠blog2006から
からっぽの洗濯機へと放り込めしろたえの衣と軽いため息と(てん

自らを励ます歌でしょうか。
日々の生活で少し汚れた白いシャツと疲れた心を洗濯し、パリっと干し上げ、アイロンでもかけようか、と。
<からっぽの洗濯機へと放り込め>の勢いが、<しろたえの衣と軽いため息と>で巧みに和らげられ、静かな余韻が残ります。
<からっぽ>という現代語と<しろたえの衣>という古語の組み合わせも、いいですね。

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産み終えてからっぽとなり・・・わたくしに満ち満ちてくる獣の母性(素人屋

そうなんでしょうねえ。
こればっかりは男どもには実感できません。
<・・・> も効いています。
<産み終えてからっぽとなり>、そして、なんですね。
<獣の母性>が<わたくしに満ち満ちてくる>のは。
<獣の母性>も、すごいですね。

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砂時計見つめています からっぽの部分に過去が満ちてゆきます(cocoa

なるほど。
砂時計の新たな真実、ですね。
永遠に止まることのない時の流れが、平明な口語表現でまったく新しい角度から表現されていて、感動的です。
口語短歌もいいものですね。

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穴ひとつ見つけて小石を入れる児はからっぽなどとつぶやきながら(内田かおり

母親として愛情深く幼児を観察しているだけでなく、幼児のそうした一見無意味な行動と思いに共感できる、記憶と柔らかな心を作者自身が保っていられるのでしょう。
同じ作者の <007:揺>の題詠歌<ひとつぶの涙のわけを手にとれば幼き言の葉わずかに揺れる>にも感じた感動が、甦りました。

コメント (6)
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