夏木広介の日本語ワールド

駄目な日本語を斬る。いい加減な発言も斬る。文化、科学、芸能、政治、暮しと、目にした物は何でも。文句は過激なくらいがいい。

飯塚事件の死刑囚の死刑執行に判を押した人

2009年06月08日 | 政治問題
 足利事件の菅家さんが釈放された事で、6日の東京新聞朝刊は、同事件の弁護団が鑑定技官の証人尋問を求める意向を明らかにしたと伝えている。対象となるのは、捜査段階のDNA型鑑定をした警察庁科学研究所の技官達6人前後と言う。
 DNA鑑定に対する疑惑は以前からあった。それは専門家の間では周知の事実だったらしい。にも拘らず、昨年10月には飯塚事件の死刑囚の久間三千年さんが死刑を執行された。彼はずっと無実を訴え続けていた。
 この事については私は5月12日のブログで、東京新聞がその事をごく簡単に書いている事に疑問を呈した。その記事を再び引く。

 92年に起きた福岡県飯塚市の二女児殺害事件で無実を訴えていた久間三千年元死刑囚は、この「黎明期」のDNA鑑定を有力証拠として死刑が確定。再審請求の準備をしていたが、昨年10月に死刑が執行されている。

 この時の法務大臣は誰だったか。
 インターネットで調べて、それが森英介氏だと分かった。就任してわずか1ヶ月だった。無実を訴え続けていた死刑囚、そしてDNA鑑定への疑問があった中での死刑執行である。いくら法務大臣は死刑確定から6ヶ月以内に判を押す義務があると言ったって、疑いがあれば、躊躇するのが当たり前の人間である。
 多分、この森と言う人は何も考えてはいなかったのだろう。06年12月25日の長勢法務大臣の死刑執行に始まり、鳩山、保岡と続く連続的な死刑執行は1年10ヶ月の間に8回、合計26人に上った。その電光石火と言うか矢継ぎ早の処置に、この人は飲まれてしまったに違いない。だから就任わずか1ヶ月で二人の死刑執行に判を押した。一人が久間死刑囚である。
 執行の判を押す前に、法務大臣はその死刑囚について何も学習をしないのだろうか。最高裁判所が決定した事なのだから、絶対に間違いは無い、と言うのだろうか。大臣の側近は何をしているのだろうか。
 こうした人達に法務の仕事を任せていてはいけないのではないか。過去にだって、裁判所が間違いを犯した例は少なくない。そうした認識さえ無いらしい。同じ穴のむじな、だとの認識しか無いのか。
 いやいや、単に人間としての生き方が出来ていないだけの話なのだろう。苦労もせず、何も考えずにすいすいと大臣にまで上り詰めてしまった人の一人に違いない。

 では、執行に判を押さない人なら良いのか、と言う事にはならない。だから過去、法務大臣の職責を全うしていなかった大臣はその責任を問われる。押しても駄目、押さなくても駄目、などと言っているのではない。もしも死刑に反対、あるいは多くの疑問を持っているなら、法務大臣になどなるべきではないのだ。なったからにはきちんと勉強して、自分の職務を全うする事である。無実を訴え続けている人が居るなら、真剣にその声に耳を傾けるべきなのだ。法務大臣の発言なら、力があるに違いない。
 でも、数えてみると、06年から09年の6月までに、長勢、鳩山、安岡、森と4人も法務大臣が変わっている。こんなにころころと変わるようでは、勉強なんかしている暇があるもんか。そしてそれぞれがその道の専門家と言うのではないだろう。森と言う人は工学博士である。そして議員になってからは労働関係が専門だったようだ。06年10月には自民党労政局長になった。そして08年9月に法務大臣である。だからその発言には威力は無いのかも知れない。
 そうは言っても、いくら裁判で決定している事項だとは言っても、仮にも人一人の命を奪う命令書に判を押すのである。生半可な知識で出来る事じゃあない。それくらいの常識も無い。
 いいですよ、常識の無い人ばっかりが政治ごっこをやってるのは、もう誰の目にも明らかなんだから、あきらめますよ。でもね、本当に、みなさん、もっと真剣にお仕事をしましょうよ。ね、お願い、頼むよ。