壁際椿事の「あるくみるきく」

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『泥のカネ』

2011年09月05日 | 読書(ノンフィクション、実用)

羊羹(ようかん)、座布団(ざぶとん)……。

それぞれ、隠語で、1000万円、1億円のこと。ゼネコン業界の賄賂です。

『泥のカネ』(森功著)を読みました。同書は、三重県の建設会社、水谷建設の元会長、水谷功氏に焦点を当てたルポです。

世間の目が行きやすいゼネコンは、ウラ金を懇意のサブコンに作らせるとか、中古重機の輸出によってウラ金を築くとか、マカオのカジノをマネーロンダリング(資金浄化)に使うとか、じつに巧妙です。

「胆沢ダムは小沢ダムだ」。小沢一郎衆院議員の元秘書の大久保規隆規氏は、そう豪語したとか。億単位の金が動いています。この問題は、いま裁判中ですよね。

正義や法や、賄賂や数や、名演説や理念や、打算や妥協や、宣言や根回しや、委員会や審議会や、世の中は何によって決まるのでしょうか? 悪法も法で、法の網は抜けたもの勝ちなんでしょうか? 決してそうじゃないですよね。

水谷功氏は、最盛期はヘリコプターを所有し、全国の工事現場へ飛んでいたとか。中古重機を高く海外へ売るためかもしれませんが、重機専用の整備工場を建てたり、整備士を養成したり。「正直に話すのは、生き残った者の務めちゃいますか」(←正確な引用ではありませんが……)とも言っています。政官界、芸能界、そしてヤクザとも付き合いがありますが、根は、古きよき時代の大親分的な人物なのかもしれません。

著者の森さんは元出版社勤務で、いまは雑誌を主な舞台にしたジャーナリスト。三菱東京UFJ銀行の暗部にメスを入れた著書もあります。それにしても、同書は驚きの事実(?)の連続でした。裏社会に興味のある方は、ぜひ。


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