壁際椿事の「あるくみるきく」

東京都内在住の50代男性。宜しくお願いします。

土佐電の「平和憲法号」、今年は走らず

2014年04月17日 | かんがえる

神戸市、白井市、千葉市……。それに続けて土佐電鉄も。
これまで市民による護憲の集会を、共催や後援していた自治体ですが、
「特定の政治勢力に加担すると受け取られかねない」と、
共催や後援を辞退する動きがあります。
市民ホールなど、会場も貸さないのでしょうか?
土佐電鉄は、憲法9条を守ろうと訴えるラッピング広告を拒否。
2006年から続く恒例の「平和憲法号」が、今年は実現しないそうです。
「特定の政治勢力に~」の言い分は、お役人独特の「事なかれ主義」ですね。
過剰反応だと思うよ。もっとナチュラルに対応できないものでしょうか。

『法服の王国』(黒木亮著)を読み始めました。
副題は「小説 裁判官」。裁判官の実態を描く物語です。

小ネタですが、あの黒の法服は、裁判官は絹製、書記官は綿製なんですね。
こんなところにも階級がある。
いよいよ物語は佳境。面白くなってきました。



『警察内部告発者』(原田宏二著)読後記

2014年04月17日 | よむ

ウーロンさん、六郎さん、いろいろ気遣い、ありがとう。
これまでと変わらず、書いていきますよ。

さてさて。
銀行員や教員、警察などは、異動が多いですよね。
銀行員は長く同じ部署にいると、融資先と甘えの関係になる。
教員も長く同じ部署にいると、特定の保護者などと甘えの関係になる。
警察も同様でしょう。
どんなに立派な人でも、易きに流されるは人の常だから、
精神論でなく、制度でもって不正を防止する狙いですね。

北海道の警察の幹部の異動は、こんな感じだそうです。
1995~2004年の10年間の記録です。銀行員や教員と比べ、どうでしょうか?

 道警本部長 7回
 総務部長 7回
 警務部長 6回
 生活安全部長 6回
 地域部長 8回
 刑事部長 6回
 交通部長 7回
 警備部長 7回
 警察学校長 10回
 方面本部長(函館)8回
 同(旭川)7回
 同(釧路)7回
 同(北見)6回
 主要な警察署の署長(中央警察署)9回
 同(北警察署)8回
 同(苫小牧警察署)6回
 同(函館中央警察署)7回
 同(旭川中央警察署)7回
 同(釧路警察署)6回
 同(帯広警察署)6回

(以下引用、カッコは椿事注)
道警の上層部は1カ所に2年と勤務していない。(中略)これだけ頻繁に異動ということになると、じっくりと仕事を把握し、改善していくヒマなどなくなってくる。となると、どうしても(裏金システムも含め)前例踏襲で、仕事をするほうが無難ということになってくるのだ。(中略)
(なぜ異動が多いか?)タテマエではそれは組織の活性化、人心の一新ということになっている。だが、実情はそんなきれいごとではない。タテマエの裏では泥臭い出世への欲望がうごめいている。(中略)
幹部たちが異動を望む理由のひとつに、次第に地位が上がると異動に伴う臨時収入が得られるというメリットがある。すなわち、税金のかからない収入、餞別のことがあるからだ。(引用終わり)

『警察内部告発者』(原田宏二著)を読みました。著者は、元北海道警察の釧路方面本部長。警察の内部を深く知る立場にあった人が、内部告発した本です。

警察には、裏金システムがある。正規の予算として、情報提供者への謝礼がある。本当は情報提供者なんていないのに、でっち上げ、架空の領収書を作り、その予算を裏金化する。出張してないのに、出張したことにして交通費を裏金化する。こうしてプールされたお金が、幹部の異動の際の餞別、飲み食いやゴルフ、官官接待(東京の警察庁のエラいさんが来道した時の接待)などに使われている。

一方で、情報提供者への謝礼の予算が下りてこない現場では、末端の警察が自腹を切って、エス(スパイの略、情報提供者)と付き合うことになる。このシワ寄せとなったのが、稲葉事件ですね。

それにしても、これだけ異動が多いと「癒着の防止でなく、餞別の回数を増やしたいからか?」とうがった見方をしてしまいます。

同書は、裏金問題を中心に、警察の体質を赤裸々に描写しています。警察の問題は北海道に限らず、ほかの都道府県でも噴出しているし、中央官庁の警察庁にもあるはず。著者は、各地の警察でプールされた金が警察庁へと向かう流れがあるはずだ、と見ています。

解説で、ジャーナリストの大谷昭宏さんが、「Be gentleman」と言っている。警察よ、紳士たれ、です。

(以下、原田さんの文から引用)元来、組織それ自体に良心など存在するはずがないのだ。存在するのは個人の良心の集合体であり、それこそが組織の良心なのである。そして、個人の良心が失われたとき、そこに残るのは、虚ろで亡霊のような形骸化した組織しかないのだ。

異動などの制度として不正を防止する仕組みも、そのベースに個人の良心あってこそですね。紳士たれ、です。

●追記
自衛隊は、ほかの公務員の2倍、自殺が多い。警察官も自殺が多いのではないでしょうか。なにか構造的な問題があるはずです。そん問題をクリアにし、彼らが毅然と堂々と朗らかに働ける社会になるといいですね。

●追記
チェスタートンの「それが設けられた理由が分からないうちは、フェンスを外すな」という言葉があります。裏金も、当初は、それなりの導入理由があったのでしょう。必要悪です。どんな理由だったのか? いまは時代も変わっている。ま、市民(オンブズマン)がよく監視する事が大切ですね。