壁際椿事の「あるくみるきく」

東京都内在住の50代男性。宜しくお願いします。

神泉から日本橋へ

2012年02月23日 | あるく

今朝9時から、京王井の頭線の列車を神泉駅で降りて、道玄坂、六本木、銀座八丁目、日本橋と歩きました。

雨の降る寒い日でしたが、時間だけはたっぷりある。靴もズボンのすそがビチョビチョに濡れてしまいました。但馬の菓子メーカー、播磨屋が、虎ノ門に東京店を出していると知りました。

幕末の志士たちは、これくらい平気で歩き回っていたんでしょうね。しかも草鞋で。『椿寺まで』(浅田次郎著)には、そんな様子がいきいき描かれています。

日本橋着は12時ころ。さすがに疲れ、地下鉄で市ヶ谷へ向かいました。なぜ外回りをしたかって? それは秘密ということで、勘弁してください。

午後は晴れ上がりました。こんな日もあります。


『名スカウトはなぜ死んだか』(六車護著)

2012年02月23日 | よむ

『名スカウトはなぜ死んだか』(六車護著)読了。オリックスの名スカウト、三輪田氏が、沖縄水産の新垣渚獲得を巡って悩み1999年秋、自殺。その懊悩を、三輪田氏と早稲田大野球部の同期で、毎日新聞記者の著者が追う。

三輪田氏の先輩スカウト、山本氏の言葉。「三ちゃんにはもちろん新垣にもすまないことをしてしまった」。「ドラフトが悪い、皆で作った制度なのに約束を守らない」。

約束とは何か。契約金や年俸の上限です。誰が約束を守らないのか。明確には書かれていませんが、新垣を巡ってオリックスと競っていたダイエー(現ソフトバンク)ホークスでしょう。

こんな趣旨のことも書かれていました。選手本人のあずかり知らないところで、ブローカー(選手の縁戚など?)が間に入ってきて、球団と交渉することもある、と。闇金が横行してるんです。

魚市場のセリや、オークションと一緒ですね。金があるチームが落札額をどんどん吊り上げるから、平均額が高騰する。そのチームばかりに有望選手が集まり、強くなる。それでは、野球全体が面白くなくなる。だから、みんなで、上限を決めたはず。その約束を守らない、というわけです。

三輪田氏は、愛工大名電の2年生、イチロー(当時は鈴木一朗)を見出し、卒業後、オリックスに入団させました。その後の活躍で、一躍「イチローを発掘した男」と注目の的になったのです。イチローがプロ1~2年目は相談にも乗っていたようですが、そのうちイチローは一軍に定着します。

「イチローは俺の手の届かないところに行ったよ。それでこそスカウト冥利に尽きる。俺も、いつまでもイチローを発掘した男でいいわけがない。せめてジローくらいは発掘しないと」と得意のシャレを発していたそうです。

(以下引用)「ドラフト会議では、制度の中にさまざまな矛盾を抱えながら70人を超える新人選手がリストアップされる。矛盾を「ゆがみ」と言いかえるなら、そのゆがみを知りながら背負っていくのがスカウトということになる」。酸いも甘いも味わった、清濁併せ呑む男。それがスカウトってわけです。

同書は、犯人や悪役を追う、ドラフト制度の矛盾に真っ向から異を唱える、というスタイルではありません。大学野球のチームメイトが、自分との個人的な関係も前面に出しながら、三輪田氏の人となりを紹介するというスタイルの本です。だから正義感に燃えた、三輪田氏の死に義憤を感じる(犯人探しをしたい)という読者には物足りないかもしれません。

三輪田氏の死後も、2004年には、明治大学の投手だった一場選手の事件などがありました。野球界は、三輪田氏の死から何を学んだのでしょうか。そして現在も、表沙汰になると困ることが横行しているのでしょうか?

プロ野球は、子どもに夢を与える仕事です。しっかりせい、野球界といいたいです。