壁際椿事の「あるくみるきく」

東京都内在住の50代男性。宜しくお願いします。

『「自分」から自由になる沈黙入門』を読んだ

2010年05月06日 | 読書
『「自分」から自由になる沈黙入門』(小池龍之介著、幻冬舎)を読みました。書中に、「自分濃度」という造語がありました。非常に分かりやすい。

別のある本で、ホットスポットという心理学の用語を知りました。そこに話題が及ぶと、ついムキになる、という分野や単語があるというのです。そして、それは大抵コンプレックスがある部分だ、とのことです。例えば、学歴に話題が及ぶと、「学歴賛成」の立場にせよ「学歴反対」の論陣を張るにせよ、つい熱く語ってしまうのは、そこにコンプレックスがあるからだ、というのです。

日常会話において、人間は、放っておいても自分のことばかり喋ってしまうもの。それが自分濃度が濃い状態。むしろ意識的に自分の話題をしない方が、結果的にちょうどよい自分濃度になる、というのが本書の主旨でした。たった四文字で、非常に強力な戒めになります。

こうしたブログの内容や書きっぷりも、自分濃度を高くすることになってしまいます。このブログ内容は、果たして読者にどう伝わっているのか。情報発信を止めることで、濃度を薄められるのだろうか? 日々反省です。

著者の小池龍之介さんは、1978年生まれの若い僧侶。ウェブ上に「家出空間」を設けられています(私自身は「家出空間」を見聞きしたことはありません)。本書は、その家出空間を基にしています。過剰なばかりの自意識にお悩みの方は、ぜひ!



『深堀り政経塾』を読んだ

2010年05月06日 | 読書
『小宮一慶の深堀り政経塾』を読みました。非常にタメになる内容です。たくさん事例が載っている中で、一つだけ。「日本医師会は、日本“開業医師”会」だ、というのです。

日本医師会の役員の選挙権は、開業医もしくは大病院の院長のみにあり、勤務医には無いそうです。日本にいる全医師のうち、開業医と勤務医の数は、ほぼ50対50です。

そして、医師会では代表を国政に送り込んでいます。そこで診療報酬制度などさまざまな医療政策が決められるのですが、「勤務医に不利で、開業医に有利」なように決められていくそうです。

そもそも医院は、20床未満の「診療所」と、20床以上の「病院」とに法律の定義上、分かれますが、両者の間には現然とした“差”があるというのです。

いま、勤務医を対象とした開業支援ビジネスがあります。「医療ビレッジ」なる不動産物件を開発し、商圏調査をし、採算計算をし、内科、耳鼻科など診療科が重複しないように複数の医師を集め、彼らの開業をサポートする。こうしたビジネスを「あだ花だ」と書かれていました。

私はてっきり、日本医師会の参政権は全医師にあるものだ、と思い込んでいましたが、なるほど、そうなんですね。前々から「うまく考えたな」と思っていた医師の開業支援ビジネスや、救急患者のたらい回し、産婦人科や小児科など特定分野の医師不足……。これら現代の医療問題も、辻褄が合ってきます。

ところで、「複雑骨折」というものを、「骨が複数カ所折れた骨折だ」と思い込んでいました。でも、じつは複雑骨折とは、「骨折部と外界が創により連絡しているもの」なのだそうです。つまり、骨が肉の外(大気中)に突き出ている骨折で、感染症の危険性が高くなるそうです。これはある冊子の、ある方のエッセイで知りました。

何事も、思い込みに陥っていると、真実と遠ざかってしまう。自戒したいものです。