goo blog サービス終了のお知らせ 
goo

DSGの“再”交換(3年10か月 47,204km)

!ご注意!
※1: すべての車両に当てはまる事例は記載していません。一つの参考例としてお読み下さい。
※2: 2009年式正規輸入GTI用の湿式6速DSGをベースに記載しています。乾式7速DSGではありません。
※3: VW関係者とは特定の国内ディーラーだけでなく、ドイツやアメリカなどの関係者談話も総合して記載しています。
※4: この項目では不定期の追記が行われております。
===================

【DSGについて~簡単に説明~】
1985年にポルシェが有名なレースカー962において開発したシステム(初代PDK)をベースに、ボルグワーナー社が発展させた物がDSGの元になります。現在は3種類のDSGが搭載されており、今後は新型10速DSG(DQ511)に移行します。

2003年~ 6速DSG(DQ250 / 02E)湿式 、重量93kg、ボルグワーナー担当
2008年~ 7速DSG(DQ200 / 0AM) 乾式、重量70kg、シェフラー/Luk担当
2010年~ 7速DSG(DQ500 / DL501) 湿式、重量96kg、高トルク車両用
2015年~ 10速DSG(DQ511)乾式 MQBシャシ専用 ※ブガッティー用とは別物

上記で分かる通り、6速と7速は設計思想や開発会社が別であり、高トルク&パワーに対応する湿式と、コストと軽量化が重視された乾式、と大きく分かれています。大変素晴らしい高効率的なシステムですが、その性格上、煮詰められていない問題も含んでいます。特に日本の様な高温多湿で渋滞の多い都市部でのノロノロ走行やストップアンドゴー、海外でも例を見ない信号停止時における「N /ニュートラルへの頻繁なシフト」は、トラブルを誘発するようです。またエンジンなどのチューニングに対して比較的寛大な6速DSGに対して7速は許容範囲が非常に狭いので、大都市使用での社外チップチューンや社外サブコンには十分な注意が必要です。DSGオイル交換については社外品で成功した例が未だ有りませんので純正オイルを使う事を強くオススメします。

6速DSGにおいてはメカトロニクスの不具合におけるトラブルが一般的です。
7速"乾式"DSGについては2014秋頃に設計における重大なトラブルが発見されドイツを中心に大々的に報道がされましたが、日本では新聞の一行記事だけで終わっています。この7速DSGについては、シェルケースの設計ミスによる冷却不良から生じるギア系トラブルのため全く新しい設計部品でないと解消はしない、と欧米マニア内では伝えられていますが、真相は不明です。同じシェフラー/Lukが開発に関わっているホンダフィットが同様のトラブルに見舞われている所を見ると(有識者内では似たトラブルと認識)何らかの問題が生じているのかも知れません。
フォルクスワーゲンはDSGに強い将来性を感じており、上記トラブルを解消した10速DSGを2014年11月に発表し、MQBシャシー車両に順次搭載していく予定です。
上記を理解して頂いた上で、下記の記事をお読み下さい。 ※2015年3月追記。
===================

~2013年1月31日~

ウチのブログで一番ヒット率が高いのが
DSGのトラブルネタ。
僕がアクセス数を気にしているミーハーなら、
毎日「今日のDSG」という記事を書けば、
トップランキングになるでしょうね(爆)。

実際に複数の一般オーナーさんに聞くと、
ネットやオフミなどで収集するDSGトラブル話や、
修理保障が効かなかった時の実費価格を聞いて、
”被害妄想”しているオーナーが大変多いようです。

さて今回は、僕が今まで経験した6速湿式DSGのトラブルを元に、
書いてみます。特殊な参考例ではありませんが、
何かのお役に立てれば幸いです。

【何だかオカシイDSGのシフト】
約1年近く前から“再”不調を感じていたDSG。
1週間近くのDSG検査入院や、車検での入庫でも
「フォルト無しなので、トラブル無しになります」
という結果で戻されて来ました。

しかし、明らかに日々進行していると思われる
シフトショックは、頻繁というより毎回生じて来ていました。
先日エンジンオイル交換の際にその話をすると、再度テストドライブして下さり
「これは確実にトラブル出ています。直ぐに交換保障申請を入れます」
とのことで、速やかに交換作業が実施されました。

【今回のトラブル事例】
①シフトレバーを「P」「N」から「D」「R」に入れる際には、ショックどころか車外では大きな変速音が2回もしていました(カッ・・・カッチャーンという音)。地下駐車場では、そのことを駐車場職員に指摘された事もあります(それだけ大きい音でギアがゆっくり入るらしい)。
②信号で「D」のまま停車し、青信号で発進すると、唐突にギアが接続されて、軽いロケットスタートのような感覚になりました。
③上り坂でヒルスタートを使わずにアクセルを入れると、急にギアが繋がり驚きます。
④バックで上り坂をスタートすると(駐車場などにある状況)半クラッチ状態が無く、その後ギアが唐突に入ります。これはかなり危険です!
⑤走行中にアクセルを緩めると、ギアが完全に抜けるような現象があり、再度アクセルを踏むと、DSGではありえない間隔をおいて再加速した事が度々あった(コンピューターの設定トラブルか?)。
⑥最初は上記を時々感じる程度だったものの、最後はこられが毎回起きていました。

【トラブル発生時期】
8,163km 1回目のDSG全交換。完全修復。
37,000km辺りから再び違和感を感じ、
40,000kmでは頻繁な違和感と、車外で響くシフト音を他人に指摘された。
その後、社外メカニックの方数人に見せた所、
そのシフト音(P→D、D→Rなどのギアシフト)だけで
「確実にオカシイ」
という結果を受けました。
ちなみに高速を飛ばし過ぎても、こういったトラブルは生じないそうです(VW関係者談)。
■関連記事→「何とも言えないDSG症状(3年1ヶ月・40,323km)」。

【対策方法】
延長保証によりミッションの全交換。
(本体、メカトロニック、DSGコンピューター、DSGオイルを含む)

使用されたパーツ番号を見ていませんので定かではありませんが、
フォルクスワーゲン社が完全オーバーホールとアップデートをして
組み直した「X」や「Vパーツ」だと思われます。
ワーゲンの場合、「X」や「Vパーツ」は、下手な新品より確実に信頼がおけます。
またオーバーホールしている工場は、DSG製造工場と同じカッセル工場製品ですので安心です。

【入庫から交換まで】
DSG本体パーツが豊橋倉庫にあった為、
約5日間の入院で、保障申請から
全交換までのプロセスが行われました。
(注:慣れていない店舗や担当者だと、
延長保証申請に時間がかかる場合があります)

但し、2回目の初期トラブル発生から
今回の修理開始までの期間は、
「約10か月=約1万km」という長時間を要しています。
この対応の遅さはちょっと残念ですね。

【交換後の状況】
今まで経験したことの無い、全く新しいDSGを体感しました。
シフトとギアに一体感があり、
シフトレバーの操作では(前後のみ)は新車より渋くカッチリです。
もちろん発進、加速、停車、バックの全てにおいて、
新車当時のゴルフ5GTIを運転した頃とは全く違い、
最新タイプのDSGに乗ったという印象です。
まだ、距離を乗っていないので、
細かい点についてはわかりませんが、
経過は追って報告します。
以前交換した時とは全く違う固いフィールという事は、
メーカー側で大幅な仕様変更が行われた可能性がありますね
(あくまで可能性であり確証は無い)。

【交換後の画像】

エンジンには2008年10月15日製造の刻印が残されていますが、
交換されたのは画像の矢印側部分に当たるトランスミッション一式。


DSGオイルクーラー上部には出荷タグ(シール)が。


出荷タグを撮影。

【1回目のトラブルとの違い】
我がGTIピレリのミッション全交換はこれが2回目。
前回は約7,000kmの時に生じた頻繁なギア抜けが原因でした。
(初回の問題と、今回の問題は、違う原因らしい)
■関連記事→DSGの交換(4ヶ月3週間・8,162km)

【6速DSGのありがちトラブル】
ドイツや北米などでは、トラブルの多くが本体のギア部分ではなく、メカトロニクス部分を交換すると解消する場合が非常に多いと報告がされています。公式な報告はありませんが、海外では一般的に認識されている事例のようです。

【他の事例】
トルコン式オートマチックと勘違いされ修理が必要ないのに文句を言われる勘違いな方
(本体の故障ではないのに文句を言う=ディーラーも適切な説明が出来ない)、
イタリア車からお乗換え組は、トラブルを抱えている車両に乗られていても、
全く感じていなかった(それが当たり前だとユーザーが勘違いしていた)事もあるそうです。

もし心配な場合は、正規ディーラーでの適切な診断や、ディーラーのセールスからのDSGについての説明や経験談を聞かれる事をお勧めします。
またDSGの細かいギア抜けデーターなどは、サービス部門の使用するハンディー機材(VAS 5052等)では詳しく表示されません。
詳しくは、メイン機材(VAS 5051等)で深く調べて貰うと詳細が表示されます。

【進化過程のDSG】

市販車が初めて電子式燃料噴射装置を装着したのが
VW1600TLE(タイプ3)でした。
今では自動車世界で当たり前のこの装備は、ドイツのボッシュ社が開発し、
「D-ジェトロニック」と呼ばれました。
70年代初頭のオイルショックも念頭に作られたこの装置ですが、
とにかく原因不明の故障が多かったそうです。
だから、当時のマニアはタイプ3や4の話をするときに
「それは1600TLなの?TLEなの?」という会話があったとか。
そう、最新技術だけど故障するとエンジンは押し掛けも出来ず、
セルがウンともスンとも言わない「最悪な装備」という
悪評が立っていました。

しかし1973年登場のアウディー80ベースの初代パサートでは、
ある程度のトラブルも解消され、シロッコやゴルフの登場になります。
その後は最高の技術であるインジェクションを表すドイツ語“E”が、
エンブレムの最後に付くことがステータスになった時代もやって来ました。
(※注1)(※注2)(※注3)

DSGもまだまだ成長途中。
特に世界でも稀な特殊な交通事情である日本では、
トラブルも多く排出されるでしょう。
実証実験をユーザーにさせるスタイルが当たり前の
欧州メーカーですから、フィードバックも早く、
電気自動車が巷に多く登場するまでは、
DSGは内燃機関としては今後、
標準的な最後の自動ギアシフト形態となるでしょう。

しかし現在の問題は、その修理や交換する判定が
同じディーラーでも担当者により大きく違う事が混乱の要因になっています。。
これについてはフォルクスワーゲン本社も、修理の明確な
ガイドラインを早急に付けないとダメでしょう。
そうでないと、顧客信頼度をサービスの対応だけに不当に任せる悪循環になります。
ヤナセが撤退前にフォルクスワーゲンに述べていた問題、
あれから20年経っても解決されていないのです。

さてユーザー側に立つと、
「保障で新しくなる事が最良」
という風潮がありますが、それは電気製品に多く言える事であり、
人の癖を簡単に消去出来ない「機械動力モノ」には
あまり通用しません。
本来製造時からきちんとした物が付いていて、それを慣らして行くのが、
自動車にとってはベストな形態なのです。

苦言を書くのは辛い事。
でも書かないと、僕の好きなワーゲンが成長しませんので・・・。
とはいえ、ここで書いても、本当に伝えたい関係者には
届かないんだよなぁ~。

今はちょっと忙しくて新品になったDSGを試す時間がありませんが、
近いうちに、長期ドライブに出て、
新しいDSGの慣らし運転と、
ドライヴィングの楽しみを味わってこようと思います。


注1:日本仕様のゴルフ2GLi、CLi、Ciと言う名称は本国には存在しません。本国では全て”i”がありません。
注2:ベンツの”E”は当初、電子燃料噴射を表す表示でした(190E、260E、SECなど)。
注3:ベンツに対抗したBMWは“i”を使います。但し"e"はイータエンジンでのみ採用。
コメント ( 0 ) | Trackback ( 0 )
« ミスリル 足... 印旛沼にて »