金属中毒

心体お金の健康を中心に。
あなたはあなたの専門家、私は私の専門家。

プロポーズ

2009-02-16 15:18:39 | コードギアス
最終的にプロポーズは天子様からかも。
20歳くらいになったとき。女同士の話をするようになったナナリーと話してて、「いつまで待てばいいのかしら」とため息を付く天子。
そしたらナナリーが「愛をもらっているだけではいつか大事な人を失う日が来ます。求めるだけの愛は相手を滅ぼします」
それを聞いて「ではどうしたらいいの」「ご自分で考えないと、それにもうお分かりでしょう」とナナリーは年上の余裕で見抜いてる。

バレンタイン4

2009-02-16 15:10:00 | コードギアス
4
このところ天子様のご様子がおかしい。誰に指摘されなくとも星刻は一番に気が付いていた。それもおかしいのは自分に対して限定なのだ。
(なにか、私がお気に触る事でもしてしまったのだろうか!!??)
いくら考えても星刻には思い当たる事が無い。でも、天子様は今朝もまた逃げてしまった。
唯一思い当たると言えば、2月14日の夜。本来なら大司馬たる星刻がするはずの無い仕事を衛士を勤めたこと。
(何かお気に障ったのだろうか。あの夜は・・・チョコをいただいてそれから少しお話をして)
その後すぐフランス領から急ぎの連絡が入ったため本来の衛士と交代して退室した。


悩みを抱えた星刻は食欲が落ち、3キロほど痩せた。神虎のプログラムの微調整のため洛陽を訪れたラクシャータは星刻を見るなり怒鳴る。
「勝手に体型を変えんじゃない!」
「・・わかりますか」
体型の変化をまわりに悟らせないため、星刻は以前愛用していた軍服をやめ、大司馬にふさわしいゆったりとした礼服に替えていた。それでもばれてしまった。
「私の目をごまかそうなど100年早い」
現在の社会的立場や黒の騎士団時代の階級から見ても、星刻がラクシャータに怒鳴られるのはおかしいのだが、現実は宿題をサボった小学生みたいに怒られている。
人徳と言うものだろうか、ラクシャータには星刻のみならず誰も逆らえない。藤堂やゼロも彼女の言葉にだけは素直に頷く。
もともとの専門がバイオ関係だったラクシャータは、今は星刻の主治医でもある。神虎の整備という名目であれば疑われる事も無い。
「それで、食べなくなった理由は」
本人にはわかっているはずとラクシャータは鋭く聞いてくる。
「   悩み事があって」
「天子様だね」
キセルを振りながらラクシャータは神虎の調整を続ける。
「どうしてわかる」
星刻は尋ねる。
少年のように見開かれた瞳を見て(わかりやすい男)だとラクシャータは思う。
この男が悩むのは天子様に関する事だけだ。政治がらみや軍事関連では『悩む』事はない。
そうなると処方箋はたやすく出る。
皇神楽耶である。
「まぁ天子様そんなにかわいらしい行動を」
ラクシャータがつないだ通信で星刻は神楽耶と対峙した。
「これは、うっかりしておりました。星刻様にもホワイトデーの規則をお伝えしないと」
口では謝罪しているが神楽耶は楽しそうだ。
「神楽耶様一体どういう事です」
「ホワイトデーにはチョコを受け取った殿方がお返しをするんです。プレゼントをしたり、遊園地や音楽会にさそったりもします」
「それは、日本の習慣ですか」
星刻はエリア11に赴任する際、源氏物語や太平記など日本文化も調べたがそういう習慣は書いていなかった。
「はい、異なるものを受け入れ溶かし新しいものを生み出す。バレンタインは日本が産んだ最高の文化ですわ」
「そうですか」
では天子様はどこかに行きたいのかと星刻は思った。きっと朱禁城では他の家臣の手前があるので言い出せないのだろう。
(そうだ、どこか天子様のお心を慰めるような美しい場所にお連れしよう)
さっそく星刻の中でたくさんの候補が浮かぶ。
「そうそう、いちばん大切なイベントとして、ホワイトデーはプロポーズのチャンスですよ。もちろん天子様もご存知ですわ。では、星刻様、がんばってくださいね」
最後に爆弾発言をして皇の姫長は通信を切った。
後に残されたのは口を大きく開けた星刻。
(ぷ、プロポーズだと)

星刻の食欲不振は当分治りそうに無い。


バレンタイン3

2009-02-16 10:50:24 | コードギアス
3
翌日、天子は神楽耶に通信を送った。
笑顔あふれる天子を見て、神楽耶にはすぐにわかった。
(無事に渡せたようですね。
念のため香凜さんにお願いしていて正解でした)
天子一人では渡せないかも知れないと神楽耶は香凜にフォローを頼んでいた。
「あのね、あのね、あのね


息せきって話す天子の言葉を聞くとやっぱり、ずっと渡せなくって泣いていたら、星刻が寝室に来てくれたのだと言う。
「喜んでくださったでしょう」
「うん」
天子は大きく頷いた。
「ところで天子様、日本にはバレンタインの後3月にホワイトデーがあるのですよ」
「ホワイトデー?」
「チョコを受け取った殿方が好きな女の子に何かを贈る日です。そうそう、プロポーズされたりするんですよ」
「えぇ!」
天子の眉がびっくりでぴょんと上がった。

3月が近づくとやけにそわそわして、星刻と目が会うと「きゃ」と言って逃げちゃう天子様が朱禁城で多数目撃された。

バレンタイン2

2009-02-16 10:21:41 | コードギアス
夜、天子はまだ子供という事で夜9時には寝室に入ることになっている。2月14日も女官達はいつものように天子を御召し代えさせて寝室に入れた。赤い瞳を潤ませている天子を。
(渡せなかったチョコ)
朝からずっと持っていた小さな包みを天子は見つめる。寝室に入れられてしまったらもう会いにいけない。
不寝番の衛士が女官に連れられ着任の挨拶に来た。衛士は一晩中貴人の眠りを守る。階級が上がる前は星刻もこの役を勤めたこともある。
天子は小さなため息をつく。手の中のチョコの包みを見つめたまま、女官の顔を見ることも無い。
「天子様、今宵の衛士を勤める」
女官はそこまで言うと少し笑ってくるりと部屋を退室した。いつまなら衛士の名を言い形式的な挨拶をするはずなのに。
天子は寝台の上で背をまるめている。背中が小さく震えている。
しんくー
声にもならないほどの小さな声で天子は一番会いたい人の名を呼ぶ。
「はい、天子様。星刻はここにおります」

いるはずの無い人、一番会いたい人の声がした。
衛士の服を着て寝台の横に控えているのは彼女の星刻だった。
「しんくー」
「はい、天子様」
ぱちぱちと赤い瞳がまばたいた。