金属中毒

心体お金の健康を中心に。
あなたはあなたの専門家、私は私の専門家。

バレンタイン2

2009-02-16 10:21:41 | コードギアス
夜、天子はまだ子供という事で夜9時には寝室に入ることになっている。2月14日も女官達はいつものように天子を御召し代えさせて寝室に入れた。赤い瞳を潤ませている天子を。
(渡せなかったチョコ)
朝からずっと持っていた小さな包みを天子は見つめる。寝室に入れられてしまったらもう会いにいけない。
不寝番の衛士が女官に連れられ着任の挨拶に来た。衛士は一晩中貴人の眠りを守る。階級が上がる前は星刻もこの役を勤めたこともある。
天子は小さなため息をつく。手の中のチョコの包みを見つめたまま、女官の顔を見ることも無い。
「天子様、今宵の衛士を勤める」
女官はそこまで言うと少し笑ってくるりと部屋を退室した。いつまなら衛士の名を言い形式的な挨拶をするはずなのに。
天子は寝台の上で背をまるめている。背中が小さく震えている。
しんくー
声にもならないほどの小さな声で天子は一番会いたい人の名を呼ぶ。
「はい、天子様。星刻はここにおります」

いるはずの無い人、一番会いたい人の声がした。
衛士の服を着て寝台の横に控えているのは彼女の星刻だった。
「しんくー」
「はい、天子様」
ぱちぱちと赤い瞳がまばたいた。


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