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MY研究所

(えむわいけんきゅうじょ) ピアノの先生の日常と、音楽教室や音楽についてのお話。

テンポ Allegro

2007年08月10日 | 音楽用語
昨日取り上げたModerato (モデラート)は
本来「中央・中心」という、そのまんまの意味なので
(モデルとかミドルと同じ)
中くらいの速さ、とだけ教えますが

その他の意味をもつ用語に関しては
ちゃんと他の意味も 教えます。

Allegro(アレグロ)を音楽用語辞典で見ると
「快速に」と書かれています。
速く弾く、で 間違いではないのですが
もともとAllegro(アレグロ)が持つのは
『陽気な・ほがらかな・快活な・楽しい・明るい』
という、ゴキゲンな意味なので
(イタリア人気質そのものだ、という意見もあり)
単純に速く弾く、というものではないのです。

というわけで、アレグロを教える時は まず
『楽しい・愉快』という意味だけ教え
「で、どう弾けば楽しい感じが出ると思う?」
と 生徒に聞いてみます。
基本的に 遅く弾くより 速く弾く方が
快活で楽しい感じになりますから
これで、Allegro = 楽しい → 速い
と 覚えてもらえます。

たまに、「遅く弾く」と答えられてしまう時もありますが
その時は
心を込めて ゆっくりと演奏してさしあげます。
では いざ。
♪~♪~♪~
弾き始めるとすぐに、シマッタという顔をして
「…速く弾く。」と訂正してくれます。

テンポ Moderato

2007年08月09日 | 音楽用語
クラシックにもラテン音楽にも
その曲に合ったテンポ、というものがあります。

ピアノを教えていて、ごく初めに教える
テンポに関する音楽用語は
Andante (アンダンテ)
Moderato (モデラート)
Allegretto (アレグレット)
Allegro (アレグロ)
の4つですが
この中で、基本となるのがModerato(モデラート)。
「中くらいの速さ」と 教えます。

でも、モデラートの意味を中くらいと説明された人
『中くらいの速さって、どのくらい?』
と思ったりしませんでしたか?
(少なくとも私は思いました。)

人によって、速いとか遅いとか感じるテンポは
違ってきますよね。
となると、「中くらい」と感じるテンポは
『Aさんには適当でも、Bさんにとっては遅い』
ということも有り得るわけで
なんとも 大ざっぱな言葉です。

が、実際のところ
「速くもなく遅くもないテンポで、4拍子を叩いてみて」
と言って、手を叩いてもらうと
不思議と皆 同じくらいのテンポで叩くのですね。

メトロノームという機械もありますが
これは、同じテンポをキープするためのものとして使い、
曲のテンポ設定は
楽語からのイメージをつかんで
自分の感覚で決めるのが一番だと思います。

portato ポルタート

2007年07月05日 | 音楽用語
昨日に引き続き、バイオリンのお話です。

半年前、バイオリンを初めて手に取った時
楽器が良いためか、弾いてすぐにまともな音が出せて、
「なんだ、意外と簡単。」
と思ったものですが
ゆっくり音を出す分には まともな音でも
早いフレーズを演奏するようになってくると
弓が跳ねたり、震えたり、
時々超音波かと思うような音も出ます。

その時 担当して下さった先生からいただいた、
安定した いい音を出すためのアドバイス。
「床に置いた、ぬれ雑巾の端をつまんで引っ張るように」
・・・雑巾ですか。

ものすごい例えですが、
弾いてみるとよくわかります。
弓の重さを素直に弦に乗せて、引っ張るだけなんですね。

ちなみに
バイオリンを習っていると
『スラー』が、弦楽器のための記号なのだな、
ということを痛感させられます。

ピアノの楽譜の中で、
スラーとスタッカートの両方が付いている事があります。
スラーの中はつなげる、スタッカートは切る、では矛盾する指示。
生徒からもよく、「切るの?つなげるの?どっち?」
と聞かれます。

ポルタートと言われるこの指示は、
弦楽器の場合
『弓を一方向に動かし続けながら、』
『やや切り離して演奏する』。
一弓で弾くため、フレーズのまとまり感はあるけれど
聴こえてくる音は離れている、という事になります。

先ほどの雑巾奏法で言えば

ずずーっと引きずり続けるところを
ずっずっずっずっ と時々止まりながら引っ張る感じ
という事でしょうか。

よろしければ
ピアノでポルタートを弾く際にでも、
ちょっとイメージしてみてください。

fermata ( フェルマータ ) 

2007年06月29日 | 音楽用語

楽譜の中に突如現れる、
カエルの目のような形の記号。
これが、音符の上や休符の上、
はたまた終止線の上に書かれていたりします。

これはfermata(フェルマータ)といいまして
イタリア語で、一般的に使われる時の意味は『バス停留所』。
つまり、止まることを意味する単語で
タクシーなんかに乗っていて、そこで止めてほしい時には
「si fermi(シ・フェルミ)」と言うそうです。

つまり、音楽では
『そこに来たら止まる』ことを示しています。
基本的には、止まった(或いは、そこで終わった)
という感じを出すために
フェルマータが付いた音符(または休符)を
本来の長さより 長く演奏します。
大体の目安として、2倍から3倍くらいにすると良い、
と教えていますが
別に3倍でなく、4倍でも5倍でも
好きなだけ伸ばしてもらっても構いません。

ピアノの場合、音は時間と共に減衰していくので
あまり長く伸ばしていると、
鍵盤を離す前に音が消えてしまいますが、
まあ、それもアリです。

ただし
1.2倍とか、あまりに微妙な長さでは
聴いている人に、止まった感じを与えませんので
(どちらかと言えば つっかえた感じに聴こえる)
ご注意を。


余談ですが

[ フェルマータ ]のもう一つの使い方として
「保存のために火を通す」
という意味があるそうです。

『食べ物が傷みやすくなるこれからの季節、
冷蔵庫へ入れるまえに、フェルマータしましょう。』
とか、言うのでしょうか・・・


Slur と Legato

2007年06月28日 | 音楽用語
6月も残り2日となりましたが
明らかに 雨傘より日傘の出動率が高いです。
あいかわらず暑い大阪です。

さて、本題。
音楽記号は、「その名前が持つ本来の意味」の通りに
( p なら弱く、というように)演奏するわけですが
たまに例外があります。
あまりにも よく出て来る、Slur(スラー)という記号。
ネコのヒゲみたいな、記号です。

音楽用語は、ほとんどがイタリア語なのに、これは英語。
意味は、そのまま「弧線」です。
(イタリア語では legatura リガーチュア と言う)

もと弦楽器のボーイング(弓の上げ下げ)のための記号で
『スラーでまとめられた範囲は、弓を返さずに弾く』
ということを示します。
つまり、レガートに演奏することを表す記号なのです。
(legatoレガート:すべらかに、つないで演奏する)

ややこしいのは、
スラーという言葉自体には、レガート奏の意味が無いこと。
(記号の形の意味しかないですからね。)

ですから
「ここからここまではスラーに弾いて」
では意味がないわけで、
「ここからここまで、スラーが付いているでしょう。
 だからレガートに弾いてね」
と言わなければならないのです。
他の音楽記号は、意味さえ教えてしまえば
「そこは p で演奏して」「クレッシェンドして」
で通じるのに、スラーだけは
「スラーに弾いて」では意味をなさないので、
私にとっては少々、もどかしい存在の記号です。

staccato (スタッカート)

2007年06月26日 | 音楽用語

ピアノ歴は20年の私が
今年から始めたバイオリンですが
少しずつ 少しずつ、できる事が増えてきました。

ピアノの楽譜にも出て来る音楽記号のいくつかは
弦楽器の奏法を示す記号から来ているものもあるので
弦楽器本来の奏法がわかってくると、
ピアノ演奏の 表現の幅が広がり
面白いなあ、と思います。

現在、ピチカートという、
弦を指で弾く奏法を練習しているのですが
遠目に見るのと、自分でやるのとでは 大違いです。
指板(弦を指で押さえる黒い部分)上の弦を、
勢い良く 指で弾いて鳴らすのですが、
まず最初に練習させられたのは
弓の持ち替えでした。
普通に弓を持ったままでは、弓の毛が弦に当たるので
傷めてしまうことの無い様、弓の向きを変えるわけです。

[ レガート → ピチカート → レガート ] と
奏法が変化する曲だと 
続けて演奏する時に 素早く持ち替えできなければ、
演奏が中断してしまいます。
そこで、一瞬でパッと持ち替えられるよう、先生の合図で
「1・2・3、ハイ!」くるり。
「もう一度、1・2・3、それっ」くるり。
と、
弓を裏向け、また元に戻すという動作を繰り返します。
元の持ち方に戻すのが、結構大変です。

ピチカートは、弦をはじく奏法ですから当然ノンレガート、
ピアノではstaccato(スタッカート)で表される演奏になります。

生徒さんに、「スタッカートってどういう意味?」
と聞くと 大概
「はねる」とか「短く切る。」という答えが返ってきます。
まあ、それも間違いではないのですが
本来、スタッカートは
「音と音とを離して弾く」くらいの意味しか持っていません。
ということは、音が鳴っている時間を棒線で表した場合、
「―― ―― ――」も「-  -  -」も
同じくスタッカート、という事になります。
どんなに小さな隙間でも、間を開けて弾けばスタッカート。

弦楽器だと、ポルタート・スタッカート・ピチカートは
「切る」事は同じでも、奏法がはっきり変わるのに対し
ピアノでは、弦楽器ほど変わらないので
(しかも、楽譜には同じ様に書いてあったりする)
どんなスタッカートが要求されているのか
ちゃんと考えて演奏しないといけないなあ
と思います。

朝顔も crescendo(クレッシェンド)

2007年06月02日 | 音楽用語
今日も大阪は暑くなりました。
日傘が無かったら、焦げそうです。
アジサイの花が 綺麗に咲く季節になりましたが
雨が似合う花だけに
こう暑いと、ちょっと可哀想ですね。
ちなみに我が家では、
花好きな両親が夏に向けて朝顔の種をまき、
今 かわいらしい双葉が生え揃っています。


さて
音楽用語の crescendo(クレッシェンド)は
「だんだん強く」と習います。

ところが、生徒達は この『crescendo』を見ると
「だんだん強くということは、急に強くしちゃいけないのね」
とばかりに、実に遠慮がちに強くしていくので
2小節進んでも 4小節進んでも
初めの強さと どのくらい違いがあるのかなあ
というくらい ささやかなクレッシェンドに。

私 「…ねえ、クレッシェンド、した?」
生徒「え~と、した、つもりなんだけど・・」

本人がしたつもりでも、聴いている人にそれが伝わらないと
表現したことにはなりません。

本来、クレッシェンドとは
「育つ・伸びる・増えていく・年をとっていく」
という意味を持ちます。
赤ちゃんが一夜にして大人になったり
ヒマワリの種が いきなり2メートルの高さに育ったり
という事がありえないように
少しずつ成長する様子を表してはいますが、
少しずつとはいえ、最終的には育ちきって
子供は大人に・ヒマワリは人の背丈ほどに伸びるわけですから

クレッシェンドする時には
「ここから成長が始まって、
 この時には ここまで育ちきっておかないといけないから
このくらいのスピードでクレッシェンドしないと。」と
最終的にどの位まで強くなるのかを
計算しておく事が大事なのです。


シャッフル

2007年05月30日 | 音楽用語

今日の大阪は 朝からすさまじい雨でした。
幸い、帰宅する頃までには止んでくれたので
助かりましたが…
梅雨入りはまだですが、入ったら毎日こんな感じかなあと
ちょっと気が滅入ります。

こんな天気でしたが、ありがたいことに
体調不良の一人を除き、休んだ生徒さんはいませんでした。

ところで
小さいお子さんって、言葉を間違って覚えてしまい
それで固定されてしまう事ってありませんか?

ジブリの映画『となりのトトロ』で
登場人物の小さな女の子、メイちゃんが
「おたまじゃくし」を「オジャマタクシ」と言っていましたが
あれは、現実にあります。
ちなみに私の妹は
「ブロッコリー」を「ブッコロリ」
「小田巻き蒸し」を「おだむしまき」と言っていました。

音楽用語はイタリア語ですから
聞きなれないカタカナ言葉を覚えるのは大変なんですが
間違って覚えると、もっと大変です。

よく出て来る音楽用語の一つ
アジタート(agitato)は
「取り乱した・興奮した」という意味からわかるように
ややあわてたように、急ぎ気味に演奏します。
ところが
「T」の1文字を取ってしまうと
アジアート(agiato)(ゆったりのんびりした・安楽な)と
ほとんど反対の意味になってしまいます。

さて最近のヒットは
まだ幼稚園のI くん。
宿題の曲や 伴奏付けの課題を仕上げたところで
「先生、まだ 『ガンテツ』弾いてない

・・・何?その根性ありそうな名前。


横で聞いていたお母さんが 
「すいません、この子『カデンツ』を間違えて覚えてしまって
ガンテツ ガンテツって直らないんですよ…」

そりゃあなかなか直らないでしょう
そんなインパクトある名前付けちゃったら。

似てるけど ( fz )

2007年05月19日 | 音楽用語
私は自他共に認めるお茶好きです。
自宅には、紅茶3種・中国茶4種
緑茶・ほうじ茶・ハトムギ茶にルイボスティー
その他コーヒー・ココア・梅こぶ茶も常備されているので
お客さんに「何がいいですか?」とお出しできる物を挙げると
その種類の多さにびっくりされます。

周囲の人も、私のお茶(特に紅茶)好きを
どこかで耳にはさんでくるらしく
何かの機会にプレゼントしてくれるので、
家では いろんな紅茶が飲み放題です。

それはさておき、本題です。
fz という音楽記号、
一見 f (フォルテ)に z が付いただけのように見えますが
これは forza (フォルツァ)と読み、
力・強さ・勢い・濃度といった意味を持ちます。
『そこだけが強く元気になった』という感じに演奏し、
sf (スフォルツァンド)・ rf( リンフォルツァンド)は、これの同類になります。

f が「そこから」強く演奏するのに対し
fz ・ sf は「そこだけ」強くなるわけです。
どちらも f が付いているので、よく間違われます。

しかし

見た目が似てるからといって、同じように使っていいと思ったら
大間違いなのです。


ある時、ミルクティーを飲みたくなって 紅茶を入れ、
冷蔵庫から牛乳パック(と思い込んだ物)を取り出し
紅茶のカップに注ぎましたが

一口飲んで

全部捨てました。

『飲むヨーグルト』は紅茶に絶対合いません。
一見よく似てるけど、無理。

本日の風、f(フォルテ)

2007年05月17日 | 音楽用語
ここしばらく お天気が不安定です。
今日も朝はどしゃぶりで、ようやく晴れたと思えば
台風かというくらいの強風が吹き荒れています。
日焼け止めというものが苦手で、紫外線対策として
日傘を愛用している私には、嫌がらせのような天気です。

さて、フォルテ・ピアノ(略してピアノ)という楽器は
その名の通り、打鍵する時のタッチの変化で
ごく小さい音 pp から 強く激しい音 ff まで
豊かに表現できる、優れものです。

p(piano)は以前書いたように、
平坦とか穏やかという意味を持ちますが

f(forte)の意味は、「強い」の他 
毅然とした・丈夫な・しっかりした・激しい 
という力を感じさせる意味と
明るい・元気な・高い・広い・大量な・得意な
と プラスイメージの意味があります。

ですから、反対語はdebole(弱い)となり、
実際のところ、日常的に p と f を反対の意味で使うのは
音の強さ以外には、風の強さを示す時のみだそうです。
たぶん、「激しい」と「穏やか」の意味で反対になるんでしょうね。


そういえば、かつてうちの教室に来ていた生徒の中に
風が強い日には遅れてきて
雨が降ったらレッスンを休んでしまうという
『南の島の大王の子供』を地でいくタイプが一人いました。

何年かに一人くらい、そういう生徒が現れるもので

以後うちの教室では、この手の生徒を
“カメハメハの一族”と呼ぶようになっています。