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MY研究所

(えむわいけんきゅうじょ) ピアノの先生の日常と、音楽教室や音楽についてのお話。

さらに減ったら。(ディミニッシュ)

2008年07月11日 | 音楽用語
         

ある音を出発点の音(根音Root)として
一つ飛ばしに3つの音を弾くと、
出発点の音の名前を持つコード(和音)になりますね。
これまで、この方法で作るコードは
メージャーとマイナーの2種類、紹介しました。

       

では、ハ長調(C Major)の音階の材料だけで
和音を作っていくと、どうなるでしょうか。

ドから作る→ド ミ ソ、で C
レから作る→レ ファ ラ、で Dm
ミから 〃→ミ ソ シ、で Em
ファから 〃→ファ ラ ド、で F
ソから 〃→ソ シ レ、で G
ラから 〃→ラ ド ミ、で Am
シから 〃→シ レ ファ、で …

…あれ?

[ シ レ♯ ファ♯ ]  だったら B
[ シ レ ファ♯ ]  だったら Bmですが

[ シ レ ファ ]って、BでもBmでもありません。

実は これ、ディミニッシュ(Diminished chord)
と呼ばれる和音で、この場合の表記は「Bdim」。

Diminish、には減少する、という意味がありますが
その名のとおり、小さく縮こまった和音です。

例えば、ここに「C」(ド ミ ソ)の和音があります。
この、まん中の「ミ」を半音下げると
「Cm」(ド ミ♭ソ)ですね。

ここから さらに、一番上の「ソ」も半音下げると
[ド ミ♭ ソ♭]という和音ができあがります。
これが、「ディミニッシュ」と呼ばれる和音です。
「Cdim」のように ○dim と表記します。

補足:
これに 減7度(短7度より更に半音低い音)
の音が加わっても、同じく「○dim」と表記し
「減7の和音」といいます。

コードネーム「7」いろいろ。

2008年07月10日 | 音楽用語
    
G7とかD7、A7 などといった
「7」が付くコードネームがあります。
セブンス(Seventh cord)と呼ばれるコードですね。

属7について書いた時、説明していますが
『7』は「Seventh(7番目)」という意味ですから
そのコードネームの名前の音から数えて
7番目の音を付け足す、ということです。

コードGを7thコードに変えるなら、
G(ソ シ レ)に 「ソ」から7番目のファを加え
G7(ソ シ レ ファ)と します。

ソ・ラ・シ ・ド・レ・ミ・ファ
↑            ↑
1番目         7番目

ところで この7番目の「ファ」の音ですが
半音高い「ファ♯」になっても やはり7番目ですよね。

ソ・ラ・シ ・ド・レ・ミ・ファ♯
↑            ↑
1番目          7番目

これ、
どっちを弾けばいいのか、迷ったりしませんか?

例えば、
(1) ド から シ
(2) ソ から ファ
どちらも 鍵盤5個飛ばし(7度音程といいます)
の関係にありますが

(1) の「シ」が もう半音上げれば ドになる
という位置にあるのに対して(長い7度)、
(2) の「ファ」は、同じ7番目なのに 半音上げても
まだファ♯のまま、ソには届きません。(短い7度)

つまり「7番目」には長短2種類があるわけです。
○7 と、ただ「7」と表記された場合は
この7番目の音、『短7度』上の音を指します。

さて、7度に 短と長があるならば
短7度を加える「○7」というコードに対し
長7度を加えるコードもあるのでは?
と思いませんか? 

それが 【メージャーセブン】と呼ばれるコード。
○M7 のように「M7」と表記されます。
この場合、7番目の音は『長7度』上の音。
(例)Fの7thコード
F7  → [ファ・ラ・ド・ミ♭]
FM7 → [ファ・ラ・ド・ミ]

「7」が付くか「M7」が付くかで
7番目の音が 半音変化するわけです。

ちょっと 応用:
Cm7(Cマイナー・セブン)と
CmM7(Cマイナー・メージャー・セブン)
の和音が わかりますか?
どちらも4音で構成されます。

(ヒント)
Cmと7、M7に分けて考えてみましょう。

コードネームの教え方(短調編)

2008年07月09日 | 音楽用語
長三和音(メージャー、長調の和音)のコードを覚えたら
次は、『短三和音』 マイナーのコードです。

メージャーのコードを 覚えてしまっているなら
マイナーは簡単。
メージャーの和音 3つの音のうち、
真ん中の音を「半音下げる」だけで、マイナーに変身します。

「C」ド ミ ソ →「Cm」ド ミ♭ ソ
「D」レ ファ♯ラ →「Dm」レ ファ ラ

この方法で、メージャー(長調)和音を
マイナー(短調)和音に変える時の注意。
それは
コードネームの名前となっている音を
  一番低い位置に置いた形
』にした状態で考えることです。
( ↑これを「基本形」といいます)

例えば
「シレソ」と並んでいる コード「G」を
「Gm」に変える場合

「シ・レ・ソ」と鍵盤を弾いてみると
シとレは 鍵盤1つ飛ばしなのに
レとソは 鍵盤2つ飛ばしになっていますね。

この「鍵盤2つ飛ばしがある」並び方は
転回形といいまして、本来の形ではありません。
これを「鍵盤1つ飛ばしだけで並ぶ形」の
基本形(この場合はソシレ)に 一旦戻します。
これで 一番低い音が 「G(ソ)」になりました。

G 「ソシレ(GBD)」の 真ん中の『シ』を
半音低い『シ♭』に変えます。
これで、「Gm(ソ シ♭ レ)」になりました。

初めの並び方(「ソ」が一番高い形)に 戻します。
これで、
「シ レ ソ(G)」→「シ♭ レ ソ(Gm)」に
変身完了。

おまけ:
メージャーとマイナーの違いがわかれば
これを応用して、他のコードもわかります。
例えば、G7とGm7。
G7(ソ シ レ ファ)の「シ」を「シ♭」に変えることで
Gm(ソ シ♭ レ ファ)となります。
違いは これだけ。

コードネームの教え方。(長調編)

2008年07月08日 | 音楽用語
    
コードネームと、構成音を覚える方法。
説明の仕方はいろいろありますが
これは、生徒さんに 
初めて和音とコードネームを教える時の
レッスンの進め方です。
   
私の場合は、2段階で。

【第1段階】
長調の音階の 『はじめの5音』を
全部教えてしまいます。

ハ長調(Cメージャー)であれば、
ド レ ミ ファ ソ ラ シ ド のうち
初めの 「ドレミファソ(CDEFG)」。
これを「」の英語音名「C」から
C(メージャー)ポジション」と覚えます。

変ニ長調(D♭メージャー)であれば
レ♭ ミ♭ ファ ソ♭ ラ♭ シ♭ ド レ♭ のうち
レ♭ ミ♭ ファ ソ♭ ラ♭」 の5音だけ。
D♭ポジション」と 覚えます。

こうして 覚える、長調の5指ポジション。
C ・D♭・D ・E♭・E ・F
G♭・G ・A♭・A ・B♭・B。
全部で12個の ポジションを覚えたところで、
  ↓
【第2段階】
それぞれ ポジションの頭から
第1音・第3音・第5音を組み合わせます。

Cポジションなら
ド レ ミ ファ ソ」から ドとミとソ。
コードネームは「 C 」となります。
同様に
D♭ポジション「レ♭ ミ♭ ファ ソ♭ ラ♭」から
レ♭とファとラ♭で、コードネームは「 D♭ 」。

ポジションの名前が、
そのままコードネームとなるので
すんなりと 覚えてもらえます。

補足:
早く、正確に覚えるコツは 覚える順番。
グループ1【C・G・F】(ハ・ト・ヘ)
グループ2【D・A・E】(ニ・イ・ホ)
グループ3【D♭・A♭・E♭】(変ニ・変イ・変ホ)
そして
グループ4【G♭・B♭・B】(変ト・変ロ・ロ)
と 4つのグループに分けて覚えていくのです。

何故 この順番なのかは、弾いてみるとわかります。
実際に 弾いて確かめてみてください♪

逆立ちしても側転しても

2008年07月03日 | 音楽用語
   
ハ長調の主要3和音「1度・4度・属7」は
コードネームで言うなら「C・F・G7」です。

ハ長調の曲を演奏する時、もっともよく使う和音ですが
ピアノで、この和音を伴奏として弾く時は、
1度を「ド・ミ・ソ」
4度を「ド・ファ・ラ」
属7を「シ・ファ・ソ」
という形で 押さえることが多いですよね。

「ド・ミ・ソ」のコードネームが C なのは、
『和音の一番下の音ド=C だから』
と わかりやすいのですが
「ド・ファ・ラ が F」「シ・ファ・ソ が G7」は
納得できにくい、と よく言われます。
確かに、Fにはファの音、G7にはソの音が入っている。
でも、一番下にないじゃないか、というわけです。

ここで 問題。
  
コードネーム「 C 」の「ド・ミ・ソ」の和音を
「ミ・ソ・ド」と 順番を入れ替えたら
コードネームは どうなるでしょうか。
あるいは、低音域で「ソ」を押さえ
1オクターブ以上 離れた高さで「ミ」を押さえ
更に 2オクターブ以上高い場所で「ド」を押さえて
下から順に「ソ・…ミ…・・ド」と弾いた場合
このコードネームは?

答えは『全部、C で良い』です。

 
たとえば、私が まっすぐ立っていたら
「たまこさんが 立っているわ」
大の字になって寝転がっていたら
「たまこさんが 寝ているわ」
と、言い表しますよね。
ヨガしていようが、逆立ちしていようが、
「たまこ」であることには 変わりなし。
この「たまこさん」に当たる部分が、コードネーム。

コードネームは、まさに『和音の名前』でして
ドから鍵盤一つおきに作った「ド・ミ・ソ」の組み合わせに
「C」という名前を与えたら、
それが ひっくり返っていようが、
一ヶ所に固まっていようが
鍵盤の端から端まで びろ~んと広がっていようが、
「C」であることに変わりないのです。

と いうわけで
「ド・ファ・ラ」が F なのは
Fと命名された時の、原形が「ファ・ラ・ド」だったから。

「シ・ファ・ソ」が G7 なのは
基本の形が「ソ・シ・レ・ファ」だったからです。
シを一番下にする形になった上、
もともと他の和音より1音多い和音なので
バランスをとるために レ を省略しているのですね。

ちなみに、シの方を省略して「レ・ファ・ソ」と弾いても
やはりG7です。

属7の「ぞく」

2008年07月02日 | 音楽用語
  

主要3和音、というものがあります。
Ⅰ(一度)・Ⅳ(四度)・Ⅴ7(ごしち、又は属7)

Ⅰ度は、音階1番目の音から上に積み重ねて作った和音
Ⅳ度は 4番目の音から同様に作った和音。
Ⅴ7(ごしち)も、5番目のⅤの和音+7度上の音
で、和音の構成と名称については そのまんまですから
特に 疑問はないのですが

どうして Ⅴ7だけ、属7(ぞくしち)と呼ぶのか。
『属』って何

…以前から気にはなっていたのです。
漠然と「五」=「属」なんだろうな、と思っていましたが
どうして 数字の5と属が同じ事になるのでしょうか。

遅かれ早かれ、
絶対うちのクラスの誰かから 質問されかねないので、
ちゃんと調べてみることにしました。


昔むかし、長調・短調というものがまだない中世では
ドリア旋法・フリギア旋法・リディア旋法…などと呼ばれる
いくつかの「教会旋法」(一種の音階)がありました。

その中で、特に重要な音とされていたのが
『フィナリス』と呼ばれる「終止音」と
『ドミナント』と呼ばれる「支配音」です。

この『ドミナント』が、教会旋法のいくつかでは
「終止音(フィナリス)より5度上の音」となっており
後に 長調・短調という音階が成立した時
それぞれの主音(音階の最初の音)から5度上の音を
同様に『ドミナント』と呼ぶようになったのだとか。

ですから、日本でいう 五7(ごしち)の和音は
 英語では dominant seventh chord
ドイツ語では Dominantseptimenakkord
つまり「ドミナントと7の和音」と呼ばれているわけです。
直訳すれば、「支配音と7の和音」。

どうやら、「ドミナント(支配音)」を 日本語にする時
「属」という言葉を当てたようですね。

ただ
「ドミナント」が 『支配する』意味を持つのに対し
「属」の意味は『依存する、つき従う、下の身分となる』
…本来の意味からすると、逆な気もするのですが。

どうする フェルマータ

2008年03月09日 | 音楽用語

常日頃 見慣れた 音楽記号。
 しかし
「何となく、こんな感じの意味だった…ような 気がする」
の 状態を放置しておくと
時間とともに意味が自己流アレンジされて
『何故そんな意味に?』
という事態に なりかねません。

知らないことは 正しく覚える
知っていることは、より深く知る。

というわけで 本日のお題は、
よく出てくる音楽記号のひとつ、フェルマータ。
円の上半分と、その下に 黒くて丸い点がある記号です。
一見、カエルさんの目。

フェルマータを、既に教えた子に
どういう意味?と 質問してみると
生徒「のばす。」

…今の子って、省エネ主義なのか、言葉が少ないです。
しかし 仮にも音楽をやって表現する人間が
1音節か2音節で用事を済ませるんじゃありません。

というわけで、更に追及。
「でも、これ全音符だから、もともと長くのばすよね。
 のばすとしたら、どのくらい のばしたらいいの?
 ちょっとでいいのかな?1.2倍とか。」
生徒「えーと・・それは 違うと思う・・・」
 もともとの意味を 覚えておくと いいんだけど、
 それは 覚えているかな?
生徒「…忘れました。」
私 「バス停。」
生徒「あ~っ!そうだったー!!」

『フェルマータ』というイタリア語は
『バス停』という意味で
現在も 日常語として使われています。
【そこまで走ってきたバスが、きちんと停車して
 お客さんが乗り降りできる時間をとる(そして また走り出す)】
という感覚で演奏すれば 自然と
待たなくてはいけない「このくらいの時間」がつかめますね。

音符本来の長さに弾くことは、走っていることと同じですから
本来の音符の長さ以上に、しかも 音楽が一旦止まった
と感じさせるくらい のばすことになります。

方々軒とかね

2008年01月19日 | 音楽用語
演奏会のプログラムを見ると
作品に番号が付いていますね。

一般的なのは 作品番号という意味の
op.(opus オプス又はオーパス)がありますが
その作曲家独特の作品番号というものもあります。

例えば
BWV.(Bach-Werke Verzeichnis)は
『バッハの』『作品』『目録整理番号』の頭文字を取ったもの。


K.V.(ケッヘル フェルツァイヒニス)
モーツアルト研究家ケッヘルによる作品目録整理番号
K.(カークパトリック)
カークパトリックによる
スカルラッティの鍵盤曲の作品整理番号

と、研究家の名前を頭にふって 番号を付けたものもあります。

これらは、
番号さえわかれば、歌ったり演奏したりしてみせなくても
どの作品の事だかわかる、という利点があるのですが
日頃 音楽に接していない人には あまり知られておりません。
ですから
発表会などで、プロの司会者に アナウンスを頼んだ時
その人が読めないことが 度々あります。
オプスやケッヘルは、音楽をやっている人間にとって
見慣れたものなので、すぐわかりますが
普段 使わない整理番号の読み方は
専門家である先生でも、ぱっと出てこない時があります。

ちなみに、過去 先生方が「あれ?何て読むのだっけ?」と
よくとまどった整理番号は
Anh. と Hob. でした。

Anh.(アンハンク)
作品目録が完成した後から見つかったりした作品に
追加としてふる番号。
遺作、或いは 偽作 を指します。

Hob.(ホーボーケン)
ハイドン研究家の作品目録 整理番号

私も先日、ホーボーケンの読み方を度忘れしまして
『えーと、何だっけ?
確か 定食屋みたいな名前だった…』と
思い出すのに 結構手間取りました。

テンポ Largo

2007年08月14日 | 音楽用語
Andante(アンダンテ)は、さほど遅くない
という話をしましたが

では、実際にゆっくり演奏する時のイタリア語は
何でしょうか。

これも いろいろあるのですが、
まずは そのうちの一つLargo(ラルゴ)。

英語にも、largeという単語がありますね。
だいたい英語と同じような意味で
空間的広がりや 豊かさを表す単語です。
(従ってこれも、遅いという意味とは違います)

「ゆっくり」というより「ゆったり」というテンポですから
広々とした世界に立って、地平線を眺めているような
おおらかさを感じさせる速さなのですね。
ドヴォルザークの『新世界』は、まさにそれです。

ちなみに、英語のlargeは
衣類の『Lサイズ』の表示にも使われますが
イタリア語であるところのラルゴも
同じように使えます。

イタリアでブティックに入って
洋服を試着した時、もしもサイズが大きかったら
「Largo!(ゆるいわ)」
と言ってみましょう。

テンポ Andante

2007年08月11日 | 音楽用語
速いテンポがあれば ゆっくりのテンポもある
というわけで
Andante(アンダンテ)は
モデラート(中庸)より少し遅いテンポです。

と言っても、決してのろのろした遅さではなく
動き続けられる、停滞しないテンポ。
基本的に「歩ける速さ」なので
実際に歩いてみて、
不自然に足が空中で止まってしまう様だと
遅すぎです。

「ゆっくりと歩く速さで」と教えているのですが
日本中で、歩くスピードが最速と言われる大阪です。
(ちなみに私はその中でも速い方の部類です)

『ゆっくり歩く』が 果たして
ちゃんとアンダンテになっているのかどうか。

全国平均より 速いアンダンテになってしまうのでは
という心配もあるので
生徒さんには よりゆったりと歩いてもらうようにしています。