一顆明珠~住職の記録~

尽十方世界一顆明珠。日々これ修行です。いち住職の気ままなブログ。ときどき真面目です。

いま読んでいる本

2006年03月28日 | 
毎日平均1時間前後を読書に充てています。
短いときは30分、長くなると3時間くらい。
睡魔に合わせています。

われながら遅読な方。

一冊の本をぶっ通しで読むのではなく、その時の関心や気分に合わせて読む本を選びます。

最近小説はご無沙汰で、思想書ばかり読んでいます。


以下、いま読んでいる本と、読中時点での一口コメントです。
読後の所感についてはいずれ記事でも紹介したいと思います。
()内は、読み進んだ割合。

・『コスモロジーの創造』岡野守也 <法蔵館>
 近代以前の神話的コスモロジーに変わる、新たな宇宙観の提案。
 同時に宗教の本質が語られている。 
 現代社会が失った「意味」の再構築。
 ドグマ・イデオロギーに対するオルターナティブな提案。
 なぜ殺してはいけないのか?なぜ体を売ることはいけないのか?を問う(半分) 


・『カントの人間学』中島義道 <講談社現代新書>
 カントの意外な再発見。
 彼の人間観が赤裸々に分析されている。
 徹底的に「自我」の構造を見つめたカントの人物像を、著者の徹底した批判精神で描き出している。自我の正体を暴く。(ほぼ読了)


・『イエスと現代』八木誠一 <平凡社ライブラリー>
 神話的なイエス・キリスト解釈を剥いだときに浮かび上がってくる、イエスの姿を通して、そこに明らかになる自他を超越した『普遍的ないのち』を抽出する試みと言えようか。(五分の一) 

・『スウェーデンに学ぶ[持続可能な社会]』小澤徳太郎 <朝日選書>
 持続可能な国家№1にランキングされるスウェーデンの知恵に学ぶ。
いかにしてかの国は、社会変革をなしえたか。福祉国家から緑の福祉国家へ。その道程から、日本の持続可能な未来像を探る。(四分の一) 


・『意識と本質』井筒俊彦 <岩波文庫>
 著者にまつわる、イスラームの碩学、東洋思想の権威という評価の枠組みには到底納められない思想書。東西の宗教、哲学、文化を独自の本質論で解体し分析を試みている。難解だがなぜか読ませる哲学書。(四分の一)
 

・『<自己>から<世界>へ[徹底討論]』小阪修平、竹田青嗣、橋爪大三郎、山本哲士、松澤正博、岡野守也 <春秋社>
 岡野守也氏の企画のもと、全共闘世代の「知」の論客が一同に会し、さまざまな思想的立場から、全共闘運動の内実を討論することによって、現代に有効なオルターナティブな提案を模索する。
だが、はたしてその現代的な位置づけは明らかになったのだろうか。
岡野氏が提示する、『意識の変容』という、ラディカルな提案は、氏の意図するところと論者の思想的立脚点がなかなか交じり合わない。そんな不全感が残る。だが、イデオロギーの絶対視・固定化を逃れつつ、どこに落としどころを見出すか。各思想家たちに共通した思索の格闘がそこに見出せるのではないか。
抽象的概念が頻発して、読んでいて間違いなく頭の痛くなる本。
心情的には、われらが岡野先生が、かの著名な論客たちを相手に堂々と論戦する姿に熱い感動を覚えました。あまりにかっこいい・・・。改めて先生ってスゴイ人だと驚嘆してしまった。
それにしても、この人たち頭良すぎますね。とてもついていけません・・・。
また、小阪氏、竹田氏、橋爪氏の著作には触れたことがあるだけに、彼らの語りでの言語表現も興味深かったです。中でも、個人的には、知をもてあそぶことにとどまらない竹田氏の誠実な学問的姿勢に共感しました。
自我の小市民的欲望追求から、いかにして全体的な社会変容の道筋をつけるか。自分の問題として、考えさせられました。
また本書の隠れたサブタイトルは「せーの」(変革)の可能性についてだと思いました。
「せーの」がないとまずいんじゃないか・・・と私も思うんですが・・・どうなることやら。この「せーの」をどう捉えるか、どういう「せーの」が可能かが問われることでしょう。
思想大好きな人は、一読の価値有りです。
ちなみにこの本のせいで2日間寝不足です。(ほぼ読了)


・『臨済録』入矢義高 <岩波文庫>
 臨済の弟子、慧然が記した、師の言行録 どうしても眠いときのチョイ読みにグッド。なんだかんだ痛快です。(四分の一)


以上、私の浮気読み読中コメントでした。


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ありがとうございました!