米国経済が年末にかけてやや減速傾向を示していることは、小売売上高やその他指数からも見て取れていたが、そこには(ガソリン価格の下落など)原油価格の急落が影響しているのは事実として、その度合いの見極めが難しいのだろう。
昨夜の米12月の耐久財受注は予想外のマイナスとなった。とりわけ「非国防資本財」という難しげな呼び名の航空機を除いたコア指数が4ヵ月連続のマイナスになったことは、企業の設備投資の先行指数とされることから、株安、金買いの材料となった。金市場は言うまでもなく利上げ観測の後退に焼き直し、ポジティブに反応し反発となった。それでも1300ドル手前で止められ、声明文の発表待ちとなった。
「非国防資本財」の4ヵ月連続のマイナスは、原油の下げ過程にも符合することから、シェールオイル関連部門での設備投資削減が響いたものではないかとの指摘もあり、確かにその可能性はありそうだ。
ただし、イエレン議長は12月のFOMC後の記者会見で、原油安は米国にとってはメリットの方が大きいという判断をしていたし、原油安によるインフレ抑制的な作用も一過性としていた。あれから1ヵ月半経過し、判断に変化は見られるのか否か。明朝の声明文では読み取れず3週間後の議事録要旨の公開を待つことになりそうだが、どうなるか。
金市場では、スイス・ショックの当日以来、目立ち始めた金ETFへの資金流入だが、今週に入っても続いている。「SPDRゴールド・シェア」は26日+1.79トン、27日+9.26トンと増加。これで15日以降、8営業日中6営業日増加し、その合計も45.11トンになる。欧米投資マネーの現物買いとしては、久々の規模になってきた。