亀井幸一郎の「金がわかれば世界が見える」

マクロな要因が影響を及ぼす金(ゴールド)と金融の世界を毎日ウォッチする男が日常から市場動向まで思うところを書き綴ります。

9月雇用統計、注目は賃金(時間給)の伸び 

2021年10月08日 20時43分37秒 | 金融市場の話題
さて9月の米国の雇用統計の発表日となった。メディアの中には今回の発表を何か特殊なイベントのような扱いをしているところがある。確かにタイミングとしては、秋になれば・・・雇用も加速するはずという期待がこの夏といっても初夏の頃には高まっていた。そもそも連邦政府による失業手当の割増し給付が手厚すぎて労働意欲を削いでいるとのことで、9月6日に終了すれば、働き手は戻ってくるというのが一つ。さらに新学期が始まるが、リモートでなく対面授業が再開されるので、子供は学校に、家で子の面倒を見ていた親は職場に復帰というのが一つ。失業上乗せ給付については、知事が共和党員の州では7月中に早々とこの制度を中止していた。しかし、目立って就業者が増えたかというと、そうでもなかったのではと思う。

誤算は、この1年間で何度か起きてきたが、コロナ沈静化が思ったように進まなかったこと。8月から9月中旬まではデルタ株の感染が広がったことが、結果に表れる可能性は否めず。もとおも、夏前には秋になれば1カ月で100万人ほどの就業者の増加を見込む見方が少なくなかったが、その後の状況から今回のNFP(非農業部門就業者)増加予想は50万人となっている。失業率は5.1%と。9月初めに発表された8月分は72万人強の予想に対し23万5000人と大きく下振れたので、50万人は妥当というべきか。しかし、そもそも8月はイレギュラーな数字が出やすく、今回の修正値が大きく上方改定ということもあるかもしれない。

まぁ、そこそこの数字であれば、FRBは11月にテーパリングを決める肚なので、市場に織り込ませたように予定通り進むのだろう。今回の雇用統計は、NFP増加数も大事だが、時間給の伸びがどうなっているかも、このところ話題のインフレとのからみで重要指数となる。前年比とともに前月比も要注目ということに。

9月の雇用統計で思い出すのが、7月30日の講演でのブレイナードFRB理事の発言だ。「9月のデータが手に入れば進展の程度をもっと自信をもって評価できる」としていた。その背景には、雇用や消費のパターンがコロナ前の状態に近づくのが9月との見通しがあったが、これはでデルタ株拡大の影響を受けることになった。また就業者数が危機前の水準を大きく下回っており、その改善を緩和策修正への条件にしていたが、これは8月のデータ時点でなお580万人が職を失った状態にある。

興味深いのは、同理事は7月末の時点で、インフレの加速はサプライチェーン問題が主因の「一時的」なものとして、「足元の物価上昇をもたらしている力の多くは来年の今ごろに消えている可能性が高い」としていた。つまりインフレ高進が落ち着くのは、来年の中頃としていた。イエレン現財務長官に次ぐ2人目のFRB女性議長に就く可能性がある人物でもある。

なお、雇用統計で注目度が上がるのは年末12月発表の11月分ではないかと思う。ヒントはその発表日にある。

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