本日15日は、米国関連で注目の経済指標の発表が多い。まず8月の小売売上高、鉱工業生産、生産者物価指数さらにNY連銀製造業指数、フィラデルフィア連銀製造業指数などで、鉱工業生産以外は本日日本時間の午後9時30分に発表された。
この中で注目度が最も高かった小売売上高だが、市場予想前月比−0.1%のところ-0.3%と下回ることになった。前月比マイナスは3月以来のこと。7月は当初の横ばいから+0.1%に上方修正された。前年同月比では+1.9%だが7月の+2.45からは鈍化。8月は新学期セールなどが好調と伝わっていただけに、予想を下回ったことに意外感はある。さらに、米国経済のこのところの牽引役は堅調な個人消費だが、今回の結果はそれにも影を投げかける。ただし、集計にサービス消費があまりカバーされていないこと、またガソリン価格などの値下がりがそのまま売上減としてカウントされることも割り引く必要がある。
この結果に対し金市場の反応は、発表後に買いを集めたものの、それも束の間、売りが膨らみ反落状態に。売られたドルが直ぐに買い戻されたのとは逆の値動きとなっている。さらに株式市場が、そう売られることなく取引を開始すると、下げ幅を拡大している。今週前半を中心リスク・オフ環境の中でむしろ下げていた金だが、金独自の材料としては、先週末に発表されたNYコメックス先物取引でのファンドの買い越し残が再び膨れ上がり957トンと過去2番目の規模となっていることがある。予想を下回った雇用統計に製造業、非製造業ともに景況指数が悪かったことが、ファンドの大量買い建てを招き、結局1週間で100トン程ネットの買い越し量が増えることになった。買い残整理が進まず、むしろ内部要因は悪化したことを嫌気した手仕舞い売りが出ているとみられる。