亀井幸一郎の「金がわかれば世界が見える」

マクロな要因が影響を及ぼす金(ゴールド)と金融の世界を毎日ウォッチする男が日常から市場動向まで思うところを書き綴ります。

「過ぎたるはなお及ばざるがごとし」 悪魔が来りて笛を吹く

2019年05月20日 19時56分32秒 | 金市場
今朝発表された日本の1-3月期GDP速報値。実質ベースで前期比年率+2.1%になったと。先週は「ついに景気後退かも」というニュースが流れており、そもそも1-3月期はマイナス成長との予想も多かったので、+2.1%は目を引いた。しかし普段、GDPなど詳しく取り上げないテレビ番組まで、今回の数字は見せかけである可能性が高く要注意的な内容の話をしていて、相応に関心は高いんだなぁと思った次第。

報じられているように輸入の減少が成長率を押し上げた。前の期に比べ4.6%も輸入が減り、その程度は2009年1-3月期以来10年ぶりとされる。確かに4.6%は大きいが、リーマン後と同じとは驚いた。2009年1-3月は、アメリカではオバマ政権がスタートした年で、前年秋のリーマンショック後の金融危機で半年でNYダウは半値近くに暴落し3月には安値を付け、アメリカ自体の貿易赤字が急減するということがあった。アメリカの個人消費も設備投資も急収縮した結果、輸入が激減し、膨大な赤字が短期で急減したのだった。アメリカ以外でも似たようなことになった。

放置すると大恐慌の再来だと危機感を抱いたFRBは、量的緩和策に本格的に乗り出したのだった。スタートしたばかりのオバマ政権は、それまでFOMCを仕切っていたNY連銀の総裁のティモシー・ガイトナーをリクルートし財務長官に据え、以降、財務省とFRBは二人三脚で経済有事に対処したのだった。あの時ほど政権とFRBの風通しのよかった時代はないんじゃないかと思う。いまやホワイトハウスは、FRBを脅しに回っている。

それにしても米中が報復関税合戦の渦中にあるが、それだけでも金融市場にはプレッシャーと思うが、そこに中国通信大手ファーウェイを兵糧攻めにすることを加えたが、このタイミングはどうだろう?ファーウェイの制裁は、やるなら時期をずらしたほうがよかったのではないかと思う。「過ぎたるはなお及ばざるがごとし」、何とか平衡を保っている市場だが、弱っているイメージで何か負荷がかかると崩落状態とならないか。

チキンレースを仕掛けているアメリカ。経済体力で勝っていることを自覚したうえで多少のコストは覚悟のうえで中国叩きに専念している。問題はコストが“多少”で済むのか否かということにある。減税効果も落ちる時間帯に入っていくし、そもそも景気循環も終盤にある。企業は設備投資を見合わせるのではないか。自社株買いで株価を支えるのも限界に来ているのではないか。

円貨ベースで4500円まで下がった金は、自分には魅力的に映る。

コメント    この記事についてブログを書く
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする
« 米債の逆イールド静かに復活... | トップ | プラチナ、結局“行って来い”  »
最新の画像もっと見る

コメントを投稿

ブログ作成者から承認されるまでコメントは反映されません。

金市場」カテゴリの最新記事