亀井幸一郎の「金がわかれば世界が見える」

マクロな要因が影響を及ぼす金(ゴールド)と金融の世界を毎日ウォッチする男が日常から市場動向まで思うところを書き綴ります。

米金利再騰で金は売られているのだが・・・・・

2017年01月26日 22時55分23秒 | 金融市場の話題

NYダウが2万ドル突破に沸いた25日。リスク・オン環境の中で、“安全資産”とされる金は売られることになった。NYコメックスの先物価格は1200ドルを割れ、1192ドル台まで売られた。金と同じようにこうした環境下では、“安全資産”とされる国債も売られる。10年債が売られた結果、逆に利回りは上昇。米長期金利(=10年国債の利回り)は、前日の2.3%台から2.4%台に上昇。そして今夜はさらに2.5%台に。単なる株高のリスク・オン環境ということだけではなく、金利上昇で(金利のつかない)金にはそのまま売りの環境ということになっている。つまり金の値下がりには、売られるでしょう・・・という整合性のある環境となっている。

ところが、大統領選終結後の株高、金利高、ドル高のトランプ・ラリーの中で金利上層局面で上がってきたドル相場だが、25日は逆に値下がりで終了した。ドル円やユーロドルよりも、金市場がみるのがドル・インデックス(ドル指数、DXY)だが、25日は前日の引け値100.28から99.93に値下がりして終了した。つまり金とドルが同時に売られたことになる。

金については、金利上昇にプログラム反応したファンドの売りと、株高に期待を寄せる資金移動が下げを招いたとみられる。金ETFの代表銘柄、「SPDRゴールド・シェア」の残高が今週に入り再び減り始めており、25日は5トン超と減少量が大きかったのが目に付いた。

それでは何ゆえ、長期金利の上昇にドルは無反応だったのか。こういう日もある、ということで片づけられそうだが、トランプ新政権のこのところのドル高けん制とも受け止められる発言が影を落としている可能性は無視できないだろう。

さて、今日も話題はトランプ大統領令。

報じられているように25日は、メキシコ国境の壁の建設と数カ国のイスラム教国からの入国制限について発せられた。“壁”については、設置予算が必要で、それは議会マターであることから設置を促すということだが、まず米側が支払(この場合立て替え)最終的にはメキシコ側が負担するという話になっているのだが、メキシコ側は何ら合意していないとしている。そうだろう。31日にメキシコのペニャニエト大統領が北米自由貿易協定(NAFTA)の見直し問題もありワシントンにてトランプ大統領と首脳会談の予定になっているらしいが、この一方的な“壁設置問題”から訪米を中止する可能性が出てきているとされる。

それにしても、相手側の了承を得ていないことを正規の大統領に就任以降も、決まりごとのように語る大統領というのも?マークではある。さらにブッシュ政権下で密かに実施していたことが発覚し大問題になり、オバマ時代に全面禁止にした、グァンタナモ刑務所での水攻め拷問についての発言もあった。TVインタビューに応え、拷問について「諜報機関の上層部に訪ねたところ、効果アリ」ということだったが、「自分も効果があると思う」と堂々と発言していた。しかし、一般的な認識として、“拷問”による自白の強要は世界的に法律で禁止されているわけで、これも画像を見ていて、こっちがオイオイオイオイオイと心配になってしまった。娘婿のクシュナーはじめ取り巻きは何をやっているのだろう。このままにしておいて、いいのか。

ところで本日の欧州からNYに掛けて金利上昇に沿ったドル高がみられている。金は下げ幅拡大。いろいろあっても、とどのつまり米国景気の拡大で株高、金利上昇、ドル高を読んでいるということだが、大統領の属人的なリスクは無視でいいのだろうか。

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