亀井幸一郎の「金がわかれば世界が見える」

マクロな要因が影響を及ぼす金(ゴールド)と金融の世界を毎日ウォッチする男が日常から市場動向まで思うところを書き綴ります。

金市場に楔(くさび)を打ち込み混乱に乗じて一稼ぎ

2015年07月23日 17時18分05秒 | 金市場

NYコメックスの金価格はついに10営業日連続安となった。9営業日連続安も珍しく手元のデータでは、2000年以降でも2008年8月末から9月に掛けて1回あるだけだったが、10営業日となると見当たらず。ウォール・ストリート・ジャーナルが報じるところでは、1996年以来となっていた。あるのか・・・と。10日は、記憶にない。1996年当時といえば、欧州の中央銀行による金売却の話が数ヵ月に一度という感じで出て、市場センチメントが時間の経過とともに悪化していたと思う。反対側でNY株の上昇ピッチが上がりつつあった。アメリカがわが世の春を謳歌(ひとり勝ち)する前段階にあたる時間帯だった。

もっとも、売られているのは金だけではなく、足元では商品市場全般に売りが出ている。22日はWTI原油が4月6日以来、3ヵ月半ぶりに節目の50ドル割れとなり、代表的な商品指数であるロイター・コアコモディティCRB指数は209.23ポイントと今年3月17日の安値209ポイントに接近してきた。この水準は2009年3月のNYダウ7000ドル割れに象徴される米国がリーマンショック以降の景気のどん底の際に記録した水準でもある。当時からするとNYダウは1万1000ドル以上高い水準だが、商品市況は当時の水準に沈んでいるわけだ。さすがに商品市場がここまで売られると、株式など金融関係者も気になりはじめている。需要不足を思わせ景気の先行きに不安を覚えさせるからだ。

中国の景気減速懸念が先行きの需要見通しに影を投げかける中で、ドル高に反応したファンドの機械的な売り(ドル高に反応するようプログラムされた売り)が、市況の悪化に拍車を掛けていると見られる。もちろん米国の利上げがドル高とともにグローバルな(経済の)引き締め効果となることを、考慮したプログラムであろうが、時に環境を無視した行き過ぎが起きるのも経験則が教えるところではある。

話を金に戻すなら、この商品市況全般が売られる中で、ギリシャ問題などで比較的値を保っていたのが金であり、その市場の“ひずみ”を衝(つ)いたのが、20日のヘッジファンド勢による投機的攻撃ということになろう。彼らはつねに市場のひび割れを探し出し、そこに楔(くさび)を打ち込みひび割れを大きくし、混乱に乗じて利益を上げるわけで、まさにそれが起きたわけだ。かつてアジア通貨危機に際し、マレーシアのマハティール首相(当時)が時のヘッジファンドの“顔”だったジョージ・ソロスに噛みついたのは、こうしたやり方に業を煮やしたからだった。マクロ型のファンドは、はげ鷹とかハイエナとか表現され評判が悪かった。

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