亀井幸一郎の「金がわかれば世界が見える」

マクロな要因が影響を及ぼす金(ゴールド)と金融の世界を毎日ウォッチする男が日常から市場動向まで思うところを書き綴ります。

「グリーンシュート」と「オーメン」

2009年06月11日 21時49分24秒 | 金融市場の話題
最近欧米メディアで登場回数がめっきり増えているのが「グリーンシュート」という言葉。「緑の芽吹き」ということで「景気回復の兆し」を表現したもの。信頼感指数などの心理指数が軒並み好転しているのは、一時に比べ金融市場に安定感が出ていることに加え、とにもかくにも株価の戻りが大きい。こうなると改善を読み取れるものは「グリーンシュート(景気回復の芽吹き)」と見なされる傾向が高まる。しかし心理指数ほどには実体経済の回復は速くないので、回復が軌道に乗っているのか否かは当面は不明ということになる。ベージュブック(地区連銀経済報告)が多少なりともお墨付きを与えてくれたなら、市場の景色も変わっていたと思われるが、全体的には悪化という結果だった。12地区ののうち5地区が悪化の勢いが弱まっているとしたが、前回と同じだった。

むしろ予想外はベージュブックよりも10年債の入札結果と市場の反応だった。入札は滞りなく終わったのだが、その条件が問題だった。このところの長期金利の上昇を映して今週も債券市場は軟調展開(金利は上昇)。10年債の利回りは今週に入り3.9%近辺まで上昇していた。入札日の10日は3.9%を突破、入札時の市場金利は3.96%だったとされる。結果は3.99%で条件決定。市場はこれを嫌がった。すなわち一般には市場金利以下で条件設定されるところを、それ以上の金利でないと消化されなかったという理解が成り立つからだ。そうなると今後も続く国債の大量発行に対し不安の雲がモクモクとわき上がることになる。その結果が8ヵ月ぶりの長期金利4%台乗せだった。需要はあるが、条件が良くないと買わないとなると、そもそも長期金利の低位安定見通しを作りだすことで住宅ローン金利の低水準安定そこから住宅需要の喚起を目指していたFRBの戦略も思い通りに行かないことを意味する。もっと端的には、FRBの緩和策で長期金利が下がっていたのは、スタート時の頃だけでいまやコントロール不能という解釈もできるわけだ。今夜の30年債の入札結果はどうなるか。
昨夜の10年債入札が波乱の兆しでなければいいが。そういえば「前兆」を表す英語にOmenがある。そう例の「オーメン」です。6月にも関係がある。

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5 コメント

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米国債を売れ! (yoshy)
2009-06-12 15:58:00
ロシア、中国、イランetcが、IMF債を米国債の代わりに、購入すると言う。日本も追随してやればいい。中国と同盟関係になるのも、世界戦略のいってである。米国の下支えばかりをしているとGMになってしまうだろう。GMは国家救済されたが、日本は見捨てられるだけだろう。早く見切りを付けた方が良い。腐れ縁を断ち切るには、中国と同盟が良い。自分で考えろ!
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米国債危うし!? (VMAX)
2009-06-12 16:58:55
ブルームバーグのニュースを見ていると、証券会社の担当者や、債券運用者たちの強がり、焦りがにじみ出ているコメントのオンパレード。
『高い利回りが資金呼び込む展開』だって?
冗談じゃないよ、危なくてしょうがない警戒水位じゃないか。最後は、ボルカー経済再生諮問会議議長が『ドルに替わる現実的な代替通貨は無い!』だと。私には『ドルに替わる代替通貨が出てきたら大変だ』としか聞こえない。相当追い詰められている証左だね。今年いっぱいは持つかと思っていた米国債が、年内に不測の事態に陥る可能性が俄然高くなってきたね。
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中国は日本の仮想敵国 (通りすがり)
2009-06-13 04:41:05
覇権国家米国の凋落を まさに米国債が、代弁しているような現状だ。
日本も米国依存から自立せねば。
だが、中国との同盟はありえない。
中国人の本質を理解できていない。
中国は、日本にとって唯一の仮想敵国だ。
その意味は、自分で理解すべし。
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通りすがりさんに同感です (VMAX)
2009-06-15 17:35:40
米国の覇権崩壊を虎視眈々と狙っている中国
は、日本にとって本当に恐ろしい国です。
何故日本人は、反米=親中、親米=反中 に
なってしまうのでしょうか。日本人は反米で
あり反中でなければならないのに。核弾頭を
搭載した弾道ミサイルを、日本の政令指定都
市すべてに向けて実戦配備している中国。
本当に怖い国は首領様の国ではなく、中国で
あることに、いずれ日本人は否応なく気づか
されることでしょう。
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本当の敵 (yoshy)
2009-06-17 14:56:09
日本だけでなく、世界中の本当の敵は、アメリカなのだ。
’01~だけで、一体幾ら世界中からドルを貢がせているのだろう。サラ金地獄の状態で、ドル危機をちらつかせては、金をむしり取っている。今回の金融危機は、アメリカ発なのに、一言も謝罪もなく、説明もない。これ以上協力する必要はない。世界はそれぞれ、アメリカに回す金を自国の救済に使うべきときが来たのである。このデフレは、幾ら貢いでももう、救えない。救えないアメリカは早く自己破産をさせて、出直し。各国は、此れからくる悲劇を、少しでも軽くするよう今から準備しても、とても足りないのだが、できることはある。最悪をさけるときなのだ。それも、数ヶ月しか時間はない。
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