亀井幸一郎の「金がわかれば世界が見える」

マクロな要因が影響を及ぼす金(ゴールド)と金融の世界を毎日ウォッチする男が日常から市場動向まで思うところを書き綴ります。

大幅調整を回避したNY金

2024年05月09日 22時26分12秒 | 金市場

日本が連休中の先週は、日本の2度にわたる為替介入でドル円の乱高下で、国内金価格は大きく上下に振れることになった。

 

JPX大阪取引所は、日本が連休中も土日以外は取引が続いており、4月26日の夜間取引から5月2日の夜間取引(5月7日分)に至る期間の高値は1万1951円(4月29日10時36分)、安値は1万1180円(5月3日22時35分)だった。ドル円が160円超に、逆に151円台まで振れた際に付けた価格となっている。最大振幅は771円(1万1951円-1万1180円)に拡大した。

現在のNY金2300ドル前後の値位置では、ドル円相場の1円の変動で国内価格は74円ほどの値動きになる。160円超から151円台まで短期に円高が進んだことで、771円の値動きは、そのまま為替相場を反映したものとなっている。同じ期間のNY金の高値は2358.90ドル(4月29日)、安値は2285.20ドル(5月3日)だった。

先週のNY金は5営業日中4営業日で一時2300ドルを割れたものの、押し目買いに引けではいずれも2300ドル超に復帰した。

 

連休中に節目のイベントになったのは、やはり現地時間1日のFOMC(連邦公開市場委員会)でのパウエルFRB議長発言と3日の雇用統計の予想比下振れだった。

米国関連で堅調な経済指標に加え年初からのインフレの再加速に、一時年内利上げナシまで市場の利下げ見通しが後退した。FRB高官の中でもタカ派関係者を中心に目立ってインフレが低下せず目標を上回る場合には、利上げも想定内との発言も見られていた。

そこに飛び出したのが、FRB後の記者会見でのFRBの次の行動が利上げになることについては「ありそうにない」としたパウエル発言だった。タイミングはともかく、FRBにとって次の一手は利下げということを基本シナリオにしている金市場にとっては、大きなサポート要因となった。

 

この点で、1日に発表された米経済指標の中で注目されるのは、4月のISM(米サプライマネジメント協会)製造業景況感指数だった。49.2と好不況の境目とされる50を下回り、市場予想にも届かなかった。

一方、個別項目の仕入れなどで負担する「支払い価格」は60.9と前月比5.1ポイント上昇していた。

ここまでのインフレで米消費者の中に選別消費の流れが生まれていることが指摘されているが、企業がコスト増を価格転嫁しにくい状況が生まれる可能性は否めない。高金利政策の長期化が景気減速につながるとすると、目標を上回るインフレの下での景気減速は、スタグフレーション(景気停滞とインフレの併存)への懸念を高めることになる。

その場合、利下げ着手がなくとも金市場にとっては、金市場では買い優勢の環境が持続することを意味する。

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