亀井幸一郎の「金がわかれば世界が見える」

マクロな要因が影響を及ぼす金(ゴールド)と金融の世界を毎日ウォッチする男が日常から市場動向まで思うところを書き綴ります。

NY金 FOMC議事要旨発表前に急落、利益確定売りにモメンタム喪失

2024年05月23日 21時15分02秒 | 金市場

「反落とはいえ下げ幅は限定的な印象が強いと言える」として、「今週は本日の4月30日~5月1日FOMCの議事要旨より、明日のS&PグローバルのPMI(購買担当者景況観)がポイント」と昨日、ここに書いた。

 

その一方、5月22日のNY金は続落した。NYコメックスの通常取引は前日比33.00ドル安の2392.90ドルと節目の2400ドル割れで終了。

この日の午後に予定されていた4月30日~5月1日開催の米連邦公開市場委員会(FOMC)の議事要旨の発表を前に、午前の中盤にまとまった売りに急落状態となった。

10時前後から30分ほどで、2410ドル台から2380ドル台半ばまで約30ドル水準を切り下げた。

前日まで続いた多くの米連邦準備理事会(FRB)高官による利下げ慎重発言を受け、利下げが予想よりも遅れる可能性が意識された。見切り売りとも言える利益確定の売りが膨らむ中で、これまでのモメンタムを失う形で下げ幅が拡大した。先週14日までの1週間でNY金の目先筋のロングは30トン増えており、その後の価格展開からはさらに増えているとみられるが、既存の持ち分が手仕舞われたとみられる。

 

その後、2385ドル近辺から反発したものの上値は重かった。2390ドル台に戻すのがやっとでそのまま横ばいで通常取引を2392.90ドルで終え、議事要旨の発表待ちとなった。 午後2時に発表されたFOMC議事要旨は、想定したよりもタカ派的な内容となった。「様々な参加者」は、インフレ再加速のリスクが顕在化すれば「政策をさらに引き締める意向がある」と指摘した。

内容を受けた市場の反応は一時的かつ限定的なものとなった。時間外取引の時間帯に入っていたNY金は、発表後売り優勢に転じ10ドル余り水準を切り下げ、一時2378.00ドルを付けこの日の安値となった。買戻しの動きは引き続き鈍く2382.30ドルで時間外取引を終えた。

 

この日の下げは、15日発表の4月の米消費者物価指数(CPI)が4カ月ぶりに市場予想比上振れを回避したことを受け、年内利下げ観測の復活を手掛かりに買い上げた相場が一巡したことを表すものと捉えている。

4月12日に付けていた高値(2448.80ドル)をいったん抜いた(2454.20ドル)ものの、さらに買い上げる手掛かり不足で失速(モメンタム喪失)という流れに。目先は下値を探る展開で、2400ドル割れでどの程度の買い意欲が見られるかを試すことになりそうだ。

 

議事要旨の影響が限定的なものだったのは、債券市場の動きからもわかる。発表を受け10年債利回りは上昇したものの、(債券は買い戻され)利回りは再び低下。結局、前日比0.007%上昇にとどまった。

議事要旨に記載されている発言内容は、4月CPI発表前のものであり足元の環境は変わっているとの判断がある。 議事要旨によれば、参加者は今年の物価指標が「インフレ鈍化の過程が以前の想定よりも長引く可能性があることを示した」とした。またインフレ率を当局の目標に下げる上で金融政策が十分に景気抑制的かどうかを巡り、「多く」が疑問を抱いていることが分かった。一方で、当局者は政策が総じて景気抑制的だとみていると指摘されている。

 

本日は、くだんのS&PグローバルのPMI(購買担当者景況観)の発表がこの後に控える。

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