亀井幸一郎の「金がわかれば世界が見える」

マクロな要因が影響を及ぼす金(ゴールド)と金融の世界を毎日ウォッチする男が日常から市場動向まで思うところを書き綴ります。

シュリンクフレーションと効力失うフォワードガイダンス

2022年06月17日 21時07分31秒 | 金融市場の話題

約28年ぶりの大幅利上げに急遽切り替えたFRB。記者会見でパウエル議長は、「消費者物価指数(CPI)とインフレ予測のデータを踏まえ、(0.75%の利上げが)適切だと考えた」とした。5月のCPIの8.6%への上振れと、ミシガン大学諸費者信頼感指数の5年期待インフレ率の上昇を指すが、「次回会合で判断するために6週間待つことは不適切で、迅速に対応する必要があった」とした。FOMCは6週間に1度の割合で開催されることになっており、次回は7月26-27日となる。それを待つよりは、「敏感に反応する必要がある」という方針変更がある。

 

昨年からの米国での一連のインフレは、種々の要素が重なった結果、スピード感、加速が特徴につき、迅速な対応が必要というのはわかる。特にインフレマインドの広がりはインフレ高止まりにつながりインフレスパイラルとなると景気崩壊を覚悟の上での引き締めに向かうことになる。ソフトランディングなど望むべくもないということになる。

それゆえ迅速な反応は必要と思うが、一方でフォワードガイダンス(政策方針の前触れ)の信頼性は落ちてしまった。先週までのマーケットは6、7月2回連続0.5%利上げを前提にディールが行われており、いきなりの変更に巻き戻し(アンワインド)に値動きが(この場合、株の下げ)が大きくなった。もう何を言ってもマーケットは半身に構えるだろう。直前でも変更はアリなんだと。

この点で、毎回の会合でデータにしたがって判断ということになるので、これからは発表される経済指標に対するマーケットの反応自体が大きくなりそうだ。値動き(ボラ)は確実に大きくなる。

 

ところでインフレ8.6%といわれて実感がわかない人が多いと思うが、オイルショックを経験したことのある我らは、感覚として理解できる。このところ米国関連のTVニュースには如何に消費者がインフレで困っているかという内容が増えているが、見ていて身につまされるものも多い。

シュリンクフレーションという造語があって、感覚的に理解できると思うが、内容量を減らして実質的な値上げをするというのは日本でもある。ところが、見た目のパッケージは変えず、あるいは大きくした上で内容量を減らし、かつ値上げをするという手法がまかり通っているらしい。冷凍ピザが取り上げられていて880グラムを805グラムに減らした上で1ドル値上げというもので、これまで1枚で済んでいたものが2枚買わないといけなくなったとしていた。西海岸のサンフランシスコのフィッシャーマンズウァーフでは魚の値段が急騰しているというのがあって、急に需要が増えたのか漁獲高が減ったのかと??理由は、燃料費が2倍になり漁に出る漁師が減り漁獲高が減少。それで値段が上昇ということらしい。

ここにきての金利の急騰も話題の1つ。クレジットカードのローン金利が初めて平均年率20%を超えたと昨日ABCが取り上げていた。同じく、年初に45万ドルの戸建ての購入を30年固定のローンを組んで買おうとしたカップルが登場して、その際の返済が毎月1500ドルだったとして、それが今や2158ドルになり諦めざるを得ないとしていた。 先日ここでマージンデットつまり株式市場の信用残を取り上げ融資金利は7.25%+αとチャールズ・シュワブの例を挙げたが、おそらく今回の政策金利の引き上げを受けて引き上げられるだろう。個人消費に響くと思う。

 

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