NYダウが3月9日にザラバの安値6440ドルを付けた後、急速に戻りに転じ短期間に20%を超える戻りを演じ、そこからモラトリアムというか何とはない“凪(なぎ)”状態がやってきた。そのタイミングで、すなわち3月下旬に米国の主だった地区連銀総裁から楽観ムードを戒めるような発言が相次いでいた。それが同時多発的に伝えられていたので、逆に何か隠れた材料でもあるのかと訝(いぶか)ってしまった。その疑問が昨夜の3月FOMCの(会議でどういう話し合いが行われたかを公表する)議事録の公表で解けた。議事録のトーンは、暗かった。予想を超えるテンポでの景気の落ち込みに慎重な見方が増えていた。前回までは「年内に回復」の見通しだったが、それが消えた。米国は全セクターで経済活動が急激に鈍化しているとし、09年下半期と10年のGDP伸び率の予想を下方修正した。ただし、その数値は示していない。
実は1月27、28日のFOMCに際して、これからは中期見通しを示すのだと公表された成長率の見通しは、2010年2.5~3.3%、2011年に至っては3.8~5.0%というものだった。わずか2ヵ月前のものだが、ひどく楽観的な予測に見えた。この予測値はFRBが金融緩和など様々な要因を考慮したマクロ経済モデルに沿って弾きだした数字とされた。FRBの強気の回復見込みはどこから来るのかといえば、早い話が机上の計算から導かれていたともいえるわけだ。
この数字に対して当方が“これだな!”と納得したのは、そもそもこのFRBが弾いた数値は、平時に効果があったモデルを基に導いたもの。金融システムがひび割れた現状で、果たして信頼できる予測ができるのか否か?という疑問があった。昨夜の議事録の悲観的トーンはそうしたモデルに沿って弾いた予測値と現実との落差にFRB内で波紋が広がっているということか。
3月のFOMCは、長期国債の買い入れという「量的緩和策」の採用を決めたことから、当日の金価格は声明文の発表後に大幅高となった経緯がある。「6ヵ月間で最大3000億ドルの長期国債の買い入れ」という異例の政策は、買い取り資金である大量のドル札が中央銀行の金庫から市中に放出されるという“力技”の超緩和策(インフレ策)といえるもの。会議全体が暗い見通しとなっていたことから、米国債の買い入れ額のさらなる拡大を予想する声もある。こうした金融環境が、先行きのドル安やインフレ傾向の高まりを予想させ、中期的な金価格の上昇を予想する声につながっているわけだ。しかし、こうした材料に即効性はない。
実は1月27、28日のFOMCに際して、これからは中期見通しを示すのだと公表された成長率の見通しは、2010年2.5~3.3%、2011年に至っては3.8~5.0%というものだった。わずか2ヵ月前のものだが、ひどく楽観的な予測に見えた。この予測値はFRBが金融緩和など様々な要因を考慮したマクロ経済モデルに沿って弾きだした数字とされた。FRBの強気の回復見込みはどこから来るのかといえば、早い話が机上の計算から導かれていたともいえるわけだ。
この数字に対して当方が“これだな!”と納得したのは、そもそもこのFRBが弾いた数値は、平時に効果があったモデルを基に導いたもの。金融システムがひび割れた現状で、果たして信頼できる予測ができるのか否か?という疑問があった。昨夜の議事録の悲観的トーンはそうしたモデルに沿って弾いた予測値と現実との落差にFRB内で波紋が広がっているということか。
3月のFOMCは、長期国債の買い入れという「量的緩和策」の採用を決めたことから、当日の金価格は声明文の発表後に大幅高となった経緯がある。「6ヵ月間で最大3000億ドルの長期国債の買い入れ」という異例の政策は、買い取り資金である大量のドル札が中央銀行の金庫から市中に放出されるという“力技”の超緩和策(インフレ策)といえるもの。会議全体が暗い見通しとなっていたことから、米国債の買い入れ額のさらなる拡大を予想する声もある。こうした金融環境が、先行きのドル安やインフレ傾向の高まりを予想させ、中期的な金価格の上昇を予想する声につながっているわけだ。しかし、こうした材料に即効性はない。
デフレの本質と通常経済の本質を理解していないからこのような間違いを行ってしまうのである。
夏の用意で、幾ら重ね着をしても、冬の防寒対策にならないように。
やがて、冬に夏服で死んだ人の累々とした姿にボーゼンとしている僞政者たちの姿が見える。