亀井幸一郎の「金がわかれば世界が見える」

マクロな要因が影響を及ぼす金(ゴールド)と金融の世界を毎日ウォッチする男が日常から市場動向まで思うところを書き綴ります。

Nothing but (S)pain.

2012年07月23日 22時58分15秒 | 金市場
NY株などが小康状態を保つなかで、先週はジワジワと不気味な利回りの上昇(価格は下げ)を見せていたスペイン債が、先週末の流れを引き継ぐような形で売りに拍車が掛り、利回りはユーロ導入後の最高を更新している。7.6%近くまで上がっているが、ますます修復が難しい領域に入ってきた。週末は同国の金融救済が改めて確認されたが、結局財政が抜き差しならぬ状況に陥るとの市場の見通しが先行している。

昨夜、新幹線車中で「週末は、またスペイン債が売られ短いものから長いものまで利回りが接近(フラット化)。スペイン政府はますます厳しい条件での資金調達を余儀なくされている。同国の見通しの悪さを市場が先取りしているため、支援が決まっても中途半端な条件を付けるため、安心感が醸成されない。徐々に煮詰まっている感じだ」と書いた。本日はスペイン10年祭が7%台後半に入る中で、2年債の利回りが現地午前の時間に6.64%まで急騰している。2年債が6%台後半。

そういえば既に2ヵ月くらい経つと思うが、イーガン・ジョーンズという聞き慣れない独立系の格付け会社がスペイン債を格下げして市場が動いたことがあった。先週そのイーガン・ジョーンズがスペイン国債(10年債)をCCCからCCに引き下げを発表していた。市場の反応はあったかどうか判然としないが、過去11週で5回目の引き下げ。しかし、S&PはBBB+、フィッチがBBB、ムーディーズはBaa3といずれも投資適格との判断のままとなっている。

本日スペイン中銀が発表した4-6月期のGDP予想値はマイナス0.4%となっていた。緊縮財政が拍車を掛ける形で、景気が落ちてきている。先週はバレンシア州が政府支援を要請と伝えられたが、地元紙はカタルーニャ州などその他の州も支援申請との見方を報じたことから、ユーロが急激に売られている。小回りが利くイーガンの方がこの場合、的確だったということか。

本日は欧州株も軒並み安、NYも急落で取引が始まっている。総売りのような中で金も売られ一時1560ドル台まで見たが、その水準では買いが入っているようだ。NYの時間帯に入り、やや値を戻す展開。プラチナは再び1400ドル割れとなっている。いずれにしても、今夜は各方面ドルと主要国国債以外は総崩れ。

Citiのレポートを見たが、表題が Nothing but (S)pain.となっていた。Spainとpainを掛けているが、確かに言い得て妙・・・・なのだ。こっちもタイトルに使わせてもらおう。

コメント (3)    この記事についてブログを書く
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3 コメント

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Unknown (ささやか)
2012-07-26 07:40:26
スペインの庶民が銀行預金をしたら、利息は何%なのでしょうか?もしかしてECBの決めた低い金利なのでしょうか?
国債が暴落すれば銀行金利も上がると思っていました。でもユーロ共通通貨圏システムではそうした金融メカニズムが働かないのでしょうか?
報道では、ドコの国債が何%だのCDSがどうこうとか難しい事はいっぱい解説してくれるけど、単純極まりない事は言ってくれないです。だから実際はどういう事なんだか、良くわからなくて時々心配になります。
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スペイン預金金利 ()
2012-07-26 18:48:41
ECBの規制などなく経営の裁量で決められたと思います。公序良俗をはみ出しさえしなければ。市場メカニズムは働きます。
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レス有難うございました (ささやか)
2012-07-27 23:24:50
7%金利あるなんて良いなあ、銀行は買えないでしょうが、普通のスペイン人はどーして買わないんだろう、と不思議に思ったんです。
日本の財務省みたいに個人向け国債・金貨銀貨をおまけに付けます!ってやってみれば良いのに。
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