亀井幸一郎の「金がわかれば世界が見える」

マクロな要因が影響を及ぼす金(ゴールド)と金融の世界を毎日ウォッチする男が日常から市場動向まで思うところを書き綴ります。

逆相関性薄れるNY金とDXY(ドル指数)

2019年07月25日 23時22分57秒 | 金市場
欧州発のニュースが注目を集めた。

伝えられているように英国ではボリス・ジョンソン元外相が新首相に就任した。「10月31日に欧州連合(EU)を離脱するという約束を果たす」とテンションは高い。EU側と新たな合意を結ぶとしているが、それができないならハード・ブリグジット(合意なき離脱)だと息巻く。ただし、与党保守党内でも親EU派の議員も多く、強硬的な離脱には内閣不信任案の採決に持ち込み、阻止する構えとされる。英国議会もこれから夏休みに入るためしばらくは静かだが、9月以降2カ月間の英国情勢は、紆余曲折を経て時に市場の波乱要因となりそうだ。ただし、金価格の押し上げ要因としては、(荒れれば別だけど)強さを感じない。

もうひとつ欧州経済、中でもEUの主要国ドイツ経済とりわけ製造業の悪化に歯止めがかからないこと。この日発表されたドイツの7月のPMI(購買担当者景気指数)速報値は前月の45.0から43.1に低下し2012年7月以来7年ぶりの低水準に落ち込んだ。自動車産業がもっとも深刻な下押し圧力を受けているとされる。製造業とサービス部門を合わせた総合PMIは51.4となったが、こちらも前回の52.6から低下、3月以来の低水準となった。ECB(欧州中銀)がこの先、利下げの再開に踏み切らざるを得ないとの思惑を呼び、ユーロ売りの材料となり、ドイツ10年債の利回りは過去最低(マイナス0.425%)を更新した。

そして実際にECB理事会は、この先の利下げを示唆した。ここまで一連の経済指標からは当然ながら緩和バイアスがかかっており、金は一時1434.10ドルまで買われたが、本日発表の米耐久財受注が良かったことで、押し戻されている。前日発表の7月の米製造業PMI速報値は6月の50.6から50.0と「縮小」を意味する分岐点の50ギリギリの水準まで低下していた。こちらは2009年9月以来の低水準となる。サービス部門(非製造業)PMIが52.2となっていることで、総合PMIは51.6となり体面を保っているが、悪化している。

結局、ドル指数(DXY)は上昇しているのだが、それはユーロ安の裏返しの現象であって、ドル(米国)自体も前年比では弱っている。DXYが水準を切り上げても、金が売られにくいのは、このため。
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