4月16日のNY金価格は4営業日続伸。前日比24.80ドル高の2407.80ドルで終了。初めて2400ドル台で取引を終えるとともに、4営業日連続で史上最高値を更新した。
イランによるミサイル・無人機攻撃を受けたイスラエル側の報復が一段の中東緊迫をもたらすことへの警戒が、一定の買い要因として働いている。
一方で、想定を超える堅調さを示す米経済指標を受けたインフレ高止まりへの懸念が投資家の関心を金市場に向けさせているとの見方も生まれている。
ただし、下がりにくい粘着型のインフレに関しては、ゴールドを押し上げてきた主要なマクロ要因である連FRBによる利下げ転換を遅らせることから、言うまでもなく売り要因ともなる諸刃の剣としての側面を持つ。
実際に国際通貨基金(IMF)は16日、四半期に1度の世界経済見通しを公表し、その中で24年の米国の成長率予想を前回の2.1%から2.7%に引き上げた。
米国のインフレ圧力が根強く、FRBによる利下げ開始に時間がかかるとの見方は、ここまで上値を抑えてきた。
この日NY金は、NYの早朝から午前中の時間帯を2400ドルを下回る水準で推移した。それでも前日終値(2383.00ドル)近辺は維持し、モメンタム喪失時に現れがちな目立った売り込みは見られなかった。
さらにこの日は、パウエルFRB議長による早急な利下げに対する従来以上に慎重な発言も飛び出した。ワシントンでカナダ銀行(中央銀行)のマックレム総裁とパネル討論会に参加。「今年は今までのところ我々のインフレ目標である2%に戻るための一段の進展を欠いている」との見方を示した。「(利下げに向け)確信を得るには想定以上に時間がかかる可能性が高いことを示唆している」とした。
この日はジェファーソンFRB副議長も別の講演で、「今後のデータが予想以上にインフレのしつこさを示せば、現在の制限的な政策金利をより長く維持するのが適切になる」としている。
こうした発言を受け、ドルは主要通貨に対し買われ、対円では一時154.79円と、34年ぶりの高値を付け、円建て価格のサポート要因に。対ユーロでも5カ月ぶり高値を更新し、ドル指数(DXY)は一時106.517を付け昨年11月2日以来の高値106.257で終了。米長期金利もさらに上昇し、4.673%と5カ月ぶりの高水準で終了。金融市場が織り込む24年中の利下げは1週間前までは「3回」が主流だったが、足元で「1回」との見方が優勢になってる。
利上げ開始時期の見通しも7月から9月に移行しつつある。 いわばNY金は金融面で逆風の中にもかかわらず2400ドルを挟んだ水準を維持しており、市場では幅広い現物需要の高まりが底堅さの要因として指摘されるものの、足元でデータの出現待ちとなっている。
データは月末にワールドゴールドカウンシルが発表する。中国を中心に現物需要が高まっているが、意外にも米国などでも個人の買いが増加している可能性がありそうだ。