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亀井幸一郎の「金がわかれば世界が見える」

マクロな要因が影響を及ぼす金(ゴールド)と金融の世界を毎日ウォッチする男が日常から市場動向まで思うところを書き綴ります。

NY金をサポートする環境の変化

2022年10月03日 22時17分01秒 | 金市場

週末、月末、四半期末が重なった9月30日のNY市場の金価格は、反発となった。NYコメックスの通常取引は前日比3.40ドル高の1672.00ドルで終了した。週間ベースでは16.40ドル(0.99%)の上昇となった。月間では3.1%の下げで6カ月連続での下落に。

先週初めに見られた英ポンドの急落に端を発した英国債の急落など不安定化した市場の中で、リスク回避の買いを集めドルが上昇。英ポンド安に伴いユーロも下げ、ドル指数(DXY)は連日20年超ぶりの高値の更新を続け9月28日のNY時間外アジア時間には一時114.788まで上昇した。それも同日に英中銀イングランド銀行(BOE)が、混乱回避に向け英国債の緊急買い付けを発表したことで事態は沈静化。BOEは緊急買い付けを10月14日までの毎営業日行うとしており、先週は30日にかけて連日実施された。英ポンドが対ドルで反発したことでユーロも持ち直し、DXYは週末にかけて水準を切り下げ、30日は3営業日続落の112.117で終了。週間ベースでは3週間ぶりの下げとなった。月間では3.15%高と4月以来の大きさに。四半期ベースでは7.2%の上昇で2015年1~3月期以降で最大の上げとなった。

 

そのDXYだが、30日は前日に続き水準を切り下げたことで、金市場ではファンドのショートカバー(売り建ての買戻し)とみられる買いに、ロンドン午前とNY時間の昼前に2度にわたり1680ドル超まで上昇した。しかし、いずれも維持できず押し戻されることになった。この日の時間外取引は1668.30ドルで終了ということに。上値の重さは、いったんは米長期金利が月末特有の機関投資家による買いが先行し利回りが低下していたものの、終盤に連邦準備理事会(FRB)が大幅利上げを続けるとの見方から次第に債券売りが優勢となり、上昇。3.829%で終了したこと。一時は3.683%まで低下していた。

 

FRBのブレイナード副議長はこの日NYで講演し、インフレの粘着性を指摘し「金融引き締めの効果が各部門に浸透し、インフレを抑制するまで時間がかかる」として「しばらくは引き締め的な金融政策が必要だ」と語った。さらに「時期尚早な(緩和方向への)転換は避ける」姿勢も改めて訴えた。

インフレの粘着性という点では、この日発表された8月の個人消費支出(PCE)価格指数は前月比0.3%上昇。7月は0.1%低下していた。前年同月比は6.2%上昇し、伸び率は7月の6.4%から縮小した。一方、FRBが物価の指標として注視していることで知られる(変動の大きい食品とエネルギーを除いた)コアPCE価格指数(コアPCEデフレーター)は、7月の横ばいに対し8月は前月比0.6%上昇。前年同月比では4.9%上昇し、7月の4.7%から加速していた。

 

「しつこいインフレ」との表現もされるが、再びインフレの高まりが示されたことになる。 いまやFRBによる積極的引き締めで政策金利は、年末までに4.4%を上回る水準に達するとみられるが、仮にコアPCEデフレーターを上回る水準となると、5%の水準が射程に入ることになる。

今回の結果で市場はそこまで反応しなかったが、仮に反応してNY金が売られた場合、むしろその下げ局面は買い場になると捉えていた。

英国金融の混乱が新政権崩壊を含む政局に発展する可能性が高まっていること。さらにクレディ・スイスの信用リスクに対する市場の関心が高まっていることが、NY金のサポート要因として機能し始めていることがありそうだ。

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