11日のNY金は続落。前日比16.60ドル安の2020.50ドルで終了した。対ユーロはじめ主要通貨に対し上昇し、ドル指数(DXY)は1週間ぶりの高値102ポイント超に上昇。終盤にかけてファンドとみられる売りが優勢となった。
この日注目の4月米生産者物価指数(PPI)は前年同月比2.3%上昇と伸びは3月の2.7%から鈍化し2021年1月以来最少となった。インフレ圧力が鈍化していることが改めて示されたことで、連邦準備理事会(FRB)が利上げを停止することが正当化されるものと受け止められた。NY時間早朝の時点で2040ドル近辺まで水準を切り上げていたゴールドは、発表を受けてさらに高値追いが期待されたものの上値は重く、その後反落に転じることになった。
先週の連邦公開市場委員会(FOMC)から週末の4月米雇用統計、さらに今週に入り10日の4月消費者物価指数(CPI)にこの日の4月PPIと、一連の注目イベント、指標の発表を通過し、11日のNY金の価格展開は、ここまでの買い優勢の流れがひと段落した印象の強いものとなった。
なお11日は銀が前日比約5%安の24.424ドルと目立って売られるとともに、NY銅先物価格も昨年11月29日以来の安値で終わった。アジア時間に発表された中国指標が予想を下回ったことが売りにつながった。中国国家統計局が11日発表した4月のCPIは前年同月比0.1%上昇と伸び率が前月から縮小した。同時に発表されたPPIは3.6%下落と、いずれも予想を下回り、中国景気の回復が鈍いとの見方が強まった。
米国関連の指標では、5月6日までの1週間の新規失業保険申請件数が26万4000件と、市場予想(24万5000件)を上回り、2021年10月以来の高水準となった。今年に入り別の統計で求人件数の減少も見られているが、好調が続いている米労働市場にもやや陰りが出ている兆候ということか。
FRB高官の発言としては、ミネアポリス連銀のカシュカリ総裁の発言が伝えられた。インフレ率が「低下している」証拠が一部見られるが、「現時点ではかなり粘り強く、(高金利を)長期間にわたって維持する必要がある」とした。高金利の維持や(その結果としての)長短金利の逆転現象が銀行経営にとって大きな逆風になっていることは注視しているものの、高水準のインフレを抑えるためには必要としている。
同総裁は今年の連邦公開市場委員会(FOMC)会合で議決権を有している。
この日続落したNY金だが、カシュカリ総裁の発言に反応した動きともいえそうだ。