注目の4月米消費者物価指数(CPI)は、前年比の伸び率が4.9%と2年ぶりに5%を下回り、2021年4月以降で最小となった。市場予想(ロイター調べ)は前月比0.4%、前年比5.0%のそれぞれ上昇だった。3月は前年比5.0%上昇だった。もっとも前月比でみると0.4%上昇し、伸び率は前月の0.1%から加速した。ガソリン価格や家賃中古車などが上昇した。
変動の大きい食品とエネルギーを除いたコア指数(コアCPI)の前年比上昇率は5.5%。前月は5.6%だった。総合指数で鈍化が目立つものの、比較的高止まりしているコアCPIの動向を探るために、このところ指数の分析も細分化されている。その一つにFRBがインフレ抑制の進捗を測る上で注目している住宅以外のコアサービス価格がある。4月は前月比0.1%上昇と2020年7月以降で最小の伸びとなった。3月は0.4%上昇だった。
発表直後に金市場では買いが先行し急伸した。一時2056.00ドルとこの日の高値付けた。前週末の4月の雇用統計が予想比上振れしたこともあり、前日の時点でインフレ圧力も予想以上に強い可能性がありCPIも上振れが懸念されていた。結果は上記のように懸念したほどの強さはなく、一方でFRBの利上げ停止は見込めるものの、市場が前のめりに織り込みにかかっている利下げの手掛かりになるものはなかったということに。
上値は追ったものの、その上の2060ドル台は最高値ゾーンに入ることからそこまでの力はなく、むしろ益出し売りが広がり押し戻されることに。そのままNY時間の昼前にはこの日の安値となった2028.30ドルまで売られる、荒れた展開に。終盤にかけて買戻しの動きが出たものの、プラス圏に浮上することなく取引を終了した。前日比5.80ドル安の2037.10ドルで終了ということに。
株式市場を中心に年後半の利下げ観測が根強いものの、いくつかの要因が重なった上で景気後退や失業率の上昇が見通せる状況に至った場合に浮上というもので、FRB関係者も繰り返し指摘しているように、現状では年内の利下げの可能性は小さいと思われる。 本日発表される4月の米生産者物価指数(PPI)は市場予想では前月比0.3%上昇となっているが、3月は前月比0.5%のマイナスだった。メインはCPIなので、一巡した感はある。
本日はInitial Claimと呼ばれる失業保険の新規申請件数の発表もある。このデータは、季節調整の見直しがあり、数字の連続性がやや失われたことで、現状維持なのか悪化しているのかよくわからなくなったが、以前のように20万件を下回ることはなくなっている。
10日はNY時間外取引(NY未明)で1カ月物米財務省証券(TB、短期国債)が売られ利回りが大きく上昇する場面があった。一時5.82%と、データを遡れる2001年以降で過去最高を更新したとされる。1カ月物でなんでこんな高い利回りが取れるのかというと、償還(つまり満期)が6月6日で、イエレン財務長官が警告した6月1日を超えることによる。デフォルトがらみの値が付いていることによる。
ブルームバーグによると共和党のマッカーシー下院議長は、9日財務省が9月30日の会計年度末まで借り入れを続けられるよう債務上限を短期的に適用停止にする案に反対したと報じられている。後送りして交渉時間を作るという短期合意はなさそうだ。
まぁ、今時、大統領がG7で日本に来ても、オンラインにて交渉できなくもないが(笑) そういうわけにも行かんのでしょう。。