亀井幸一郎の「金がわかれば世界が見える」

マクロな要因が影響を及ぼす金(ゴールド)と金融の世界を毎日ウォッチする男が日常から市場動向まで思うところを書き綴ります。

甘くないFRB、それを織り込んだ金市場 

2022年05月27日 21時15分30秒 | 金市場

本日は午前9時半過ぎからラジオNIKKEIのマーケット・プレスに電話生出演(17分程度)。キャスターの岸田恵美子さんの問い掛けに応じる流れにて進行。広範囲の内容となった。

米国の景気・金融政策を見る上でのポイントは、何といってもインフレ動向だが、岸田さんはCPI(消費者物価指数)が注目されがちだが、PPI(生産者物価指数、あるいは卸売物価指数)にもっと注目すべきではないかと。たしかに米国企業は日本企業に比較して各種コストの上昇分を価格転嫁していると思うが、すべてというわけではない。限度はあるわけで、とくに今回の米国でのインフレは急激に水準が切り上がったのが特徴ゆえに、対応も難しい。もっとも、価格転嫁できるのは、まずはブランド力のある企業からということになるので、コスト上昇がそのまま減益要因というところも多いだろう。ここにきて米企業の決算悪化にインフレを背景とするところが増えているように思う。

米国の強みは個人消費が堅調に推移していること。昨日発表された1-3月期GDP改定値は、前期比年率マイナス1.5%と速報値のマイナス1.4%から0.1%下方修正されたが、個人消費は0.4ポイント上方修正のプラス3.1%だった。そもそも全体が下方修正されたのは輸入が0.6ポイント上方修正され18.3%増となったことで、外需が増えることは内側のマイナス要因とカウントされる。しかし、輸入が多いのは消費の強さを示しているわけだ。

 

昨日書こうと思っていたのは、5月のFOMC議事要旨を受けた、株価の上昇についてだった。 市場では75bp(0.75%)利上げに言及するメンバーの存在などを懸念していたこともあり、むしろ思ったほどタカ派傾斜はなかったとの判断で株価は上昇となったとされる。さらに、米経済の強さについて「参加者全員」が強いとの認識を示したこともあっただろう。

議事要旨によると「大半の参加者」が6月と7月の会合でそれぞれ50bpの利上げが適切とし、インフレリスクについては「上向きに偏っている」とした。また景気を過熱も冷やしもしない程よい金利水準を「中立金利」と呼び2.5%前後に置いているが、それを上回る水準まで利上げする意向も示した。表現を変えれば景気を意図的に冷やす水準まで利上げを進める意向を示したことになる。

市場に安心感をもたらしたのは7月の会合まで0.5%の利上げを続けた後で、次回は9月となることから、政策効果(金融引き締めの効果)を検証した上で臨むことができる。地区連銀総裁の中には、その上で9月利上げは見送りとの発言もこのところみられていた。しかし、インフレ抑制に対するFRBの意思は非常に硬く、株式市場にいまだFRBは株式市場の味方という願望バイアスがあるなら、今回は裏切られるだろう。

甘くないFRBと、それを織り込んでいる金市場。

本日は4月個人消費支出価格指数(PECデフレレーター)の発表が予定されている。注目はFRBがインフレ指標として注目する(食品とエネルギーを除いた)コアPCEデフレーターで、3月の前年比5.2%伸びに対し市場予想は同4.9%伸びとなっている。インフレ動向を探る手掛かりとなる。

 

昨夜は新型コロナ規制緩和が進行する中で、久々に新橋にて簡単なお疲れさん会だった。昨年あたりから都内のいろんな駅が改装、改築になっていて驚くのだが、新橋駅も中が変わっていて驚いた。しかし、親橋の飲み屋街もすっかり以前の姿に戻っているように見えたが、知らないうちに店も変わっていたりするのだろう。

来週は、31日に午後4時半からラジオNIKEEI「マーケットトレンドPLUS」にスタジオ生出演です。FRBの政策と金市場について。

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