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亀井幸一郎の「金がわかれば世界が見える」

マクロな要因が影響を及ぼす金(ゴールド)と金融の世界を毎日ウォッチする男が日常から市場動向まで思うところを書き綴ります。

「存在感を増す公的購入、価格は上がれど、やはりスクラップは増えず」

2012年02月17日 23時28分18秒 | 金市場

本日は、WSJ(ウォール・ストリート・ジャーナル)ネット版まで、昨日のWGCの四半期データを基にした金市場における公的購入の増加について取り上げる一文を掲載していた。無理もない。昨年2011年通年の公的購入は、ネットで440トン(439.7トン)にもなり、「1964年以降の最高値」となったとしている。データ上は、公的部門がネットで買い越しに転じたのが2009年の46月期以降のこと。それが、ここにきてピッチを上げたのは、やはり米FRBの量的緩和策の進展観測の高まりや、新興国中銀が真剣に外貨準備の分散化あるいは“運用”を考え始めた結果と見ることができよう。いずれにしても需給を支える大きな要素として、公的購入が存在感を増しているということである。

 

ところで当欄では、昨年9月以降の急落の背景の分析の一つの要素として、需給データの中で「スクラップ(リサイクル)」の動向にも注意を払ってきたが、今回のデータで、やはり価格の上昇そして急落にもかかわらずインド、中東そして中国などでは増えていないというより減っていることが判明している。予想はできたが、増えたのは日米欧という、これまで宝飾品など金製品の買い取りの習慣がなかった国・地域での換金売りの急増あった。日米欧の換金売りの急増は、おそらく「換金できる」という事実に対する動きであって、価格見通しに基づいた行動とは違う世界のものといえよう。いままで換金する機会や習慣のなかったところに、価格の上昇により、新たにそういう機会が設けられブームになった、ということである。

 

いずれにしてもインド、中東など伝統的に宝飾品自体が投資や蓄財の対象となっているところの換金売りは増えていない。つまり、やはり「金は上がれば、どんどんスクラップが出て(製品の換金売りが出て)、それが需給を崩し価格を抑える」という構図は、必ずしも当てはまらないということである。以前はそうだったが、いまや変化したということ。むしろ、将来のある時点で、価格の天井感が醸成された段階でこそスクラップの急増ということになるのではないかと思っている。

 

昨日の日経CNBCテレビに続き、本日は夕刻1730分からラジオNIKKEIの生番組「マーケット・トレンド」にて話をさせてもらった。こちらの方が、持ち時間が長いのでやりやすい。明日は午後に都内、大手町でセミナーの予定。


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