12月12日のNY金は小幅に続落した。通常取引は前日比0.50ドル安の1993.20ドルで終了。
NY時間外のアジアからロンドンの時間帯は節目の2000ドルを挟んだプラス圏で推移。NYの早朝には一時2012.50ドルまで買われた。発表が予定されていた注目指標11月の米消費者物価指数(CPI)を前に、インフレ指標はここまで鈍化傾向を示してきたことから、下振れを期待する買い入ったとみられる。前日まで続落で下げ幅も拡大していたことから、自律反発を狙う買いもあったとみられる。
発表された11月CPIは総合指数および変動の大きい食品とエネルギーを除いたコア指数ともに、市場予想に沿った結果となった。ところが、細目ではサービス分野でインフレが高止まりしていることが確認されたことから、足元のインフレの根強さが意識され早期の利下げ期待は後退し長期金利が上昇、つられてドルも上昇。金市場では売りが膨らみ、NY午前の時間帯にそれまでの上昇幅をすべて失うことになった。
いわゆる「行って来い」状態に。
終盤にはこの日米財務省が実施した30年債の入札が好調裏に終わったと伝わり長期金利は低下し、ドルも下押したものの、買戻しは見られず終盤に小幅にマイナス圏に入り終了した。軒並みプラス圏で取引を終えた主要株式指数とは明暗を分ける形に。
印象としては、やはりこのところ先物市場で大きく買いついたファンドによる、ポジション(持ち分)解消の売りが、値を戻す過程で出されている感は否めない。昨日も同様の指摘をしたが、しばらくはこうした価格パターンが続くものと思われる。
11月CPIは前年同月比の上昇率が3.1%と前月の3.2%から鈍化し、市場予想と同じだった。コアCPIも前年同月比は前月と同じ4%で、こちらも市場予想に沿ったものとなった。ただし、足元の基調をより表すとされる前月比では、総合指数は0.1%上昇と横ばいだった前月から伸びが加速した。伸びが目立ったのが住居費や医療サービス価格の堅調さを映した(エネルギー関連を除く)コアサービスで11月は前月比上昇率が0.5%と10月の0.3%から拡大していた。
市場の関心は、連邦準備理事会(FRB)の利上げサイクル終了から利下げのタイミングに移行しているが、今回のCPIの結果は早期利上げは見込みにくいということになった。
日本時間明朝午前4時に連邦公開市場委員会(FOMC)の結果が判明するが、政策金利を据え置く一方で参加者の政策金利見通し(ドットチャート)にて24年末の水準(中央値)がどうなるか注目される。合わせて言うまでなく議長の記者会見も注目ということに。