goo blog サービス終了のお知らせ 

亀井幸一郎の「金がわかれば世界が見える」

マクロな要因が影響を及ぼす金(ゴールド)と金融の世界を毎日ウォッチする男が日常から市場動向まで思うところを書き綴ります。

金融が振り回す実体経済(IMF融資枠拡大)

2009年03月31日 18時15分09秒 | 金市場
ブルームバーグの記事の中に見つけた数字だが、AIGへの公的資金注入額がここまで総計1830億ドル。これは報じられているので、この程度の数字というのはわかる。片や1440億ドル。

いまや日本円にして数十兆円規模の数字が珍しくなくなっており、日々そうした報道に接していると感覚がマヒしがちではある。AIGの1830億ドルにしても、昨年9月の最初の850億ドルの実行額が1ヵ月で不足と聞いた時には驚いたが、いまや、そんなものか・・・と。さて2つ目の数字1440億ドルとは?これフィリピンのGDPなんだそうな。調べてみるとフィリピンの人口は8857万人(2007年)。約9000万人の国家のGDP以上の金額を既にAIG1社に投じているということ。こうした比較があると、無味乾燥な数字も急に生き生きとしてくる。こうなると世界的な金融バブル崩壊の余波が、主要国にとっては問題にならない規模のものであったとしても途上国や新興国にとっては、存亡を左右するダメージとなるということもわかる。IMFの融資枠拡大の論議もわかろう。

この問題、本日の日経が一面トップで取り上げているが、4月2日のG20にて日本は「IMF保有の金の売却を通じた資金基盤の増強なども求める方針」とのこと。世界金融の流れを見ていると、そうだろう・・・と。元より昨年4月の東京で開かれたG7で合意した事項でもある。その時とは売却目的は変化はしているが・・。おそらく売却を再合意して盛り込んだとしても、米国議会の同意が必要であることに現時点で変わりはない。その意思決定を簡素化し、財務省の裁量の範囲にというのがガイトナー財務長官の望むところとされるが、議会側を説得できるのか否か。IMF保有金売却には「ワシントン協定」との連携問題も関係するが、以前この4月2日のG20で合意という可能性を書いたが4月25、26日に予定されているIMF春季総会という場も考えられそうだ。

話を戻すと、途上国との経済格差はこの際無視するとして、ただ事ではない規模の資金注入がここかしこで行われており、それに見合った通貨の量も増えているということを再認識した次第。ちなみにフィリピンのGDPだが、外務省のサイトでは1576億ドル(2007年)となっていた。いずれにしてもAIGへの注入額より小さい。金融に振り回される実体経済。

コメント (2)    この記事についてブログを書く
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする
« レンジ相場続く金市場だが・・・ | トップ | 不協和音伝えられる金融サミ... »
最新の画像もっと見る

2 コメント

コメント日が  古い順  |   新しい順
IMFの存在意義 (ささやか)
2009-04-01 10:34:40
AIGへの公的資金注入額とフィリピンのGDPの比較わかりやすかったです。有難うございました。ともかく私のような家計簿サイズの経済学では理解不能な巨大な数字で脳ミソがフリーズ状態です。
IMFが保有金を売却しても資金基盤の増強をはかり世界経済の危機的状況の打開策を打たなければいけない現況であるとは思います。
GOLDのブログでこんな事いうのは申し訳ないのですが、家計簿サイズの経済学では「金は万一の時売って生き延びるための資産」です。その際に金価格がどうなるかはわかりませんが、先進各国も自分の国の危機だけで精一杯の状況では他の国々に融資するだけの資金を集める事できないでしょ?蔵に金のブンブク茶釜があったらそれを売ってでも世界経済を救わなければIMFの存在意義が問われる事になるのではないでしょうか?
中国がSDRに言及?確か日本より輸出依存度が高い国でしょ?言いたくなるのはわかりますけど、市場開放もしていない国がそんな事いうのは10年早いって気がするんですけど~
返信する
IMFの保有金って・・・ (いつも拝見しております)
2009-04-01 23:45:39
もともとはアメリカのものだったように思います。アメリカのIMFに対するコメントが最近少なくどう思っているのかわかりませんが、IMFは金融界ですらアメリカ利益誘導政策の片棒を担いでいると(ルービン回顧録などに詳しい)言われているくらいなので、保有金売却も米国債問題と含め非常に微妙な問題になっているのではないかと思ってます。オバマ大統領が保護主義を語るならIMF保有金の国庫差し戻しなんて大技もありかと思うし、国際協調なら保有金売却大賛成のはずです。しかし、どうも米政府側からは特にコメントがないだけに気になります。日本はアメリカの飼い犬なのでSDRのSすら政府から一言も出てきませんが、主従に非ず権利と義務を重んじる普通の感覚をもつ国際人ならば中国やロシアの主張は当然です。借りるだけ借りておいて踏み倒しや棒引きなんて一般的になくとも国際的にはありうるなどという主張は成り立ちません。最近は、WTOなどの国際機関(特に金融関連)に対する風当たりが強まってきたように感じます。週末のロンドンG20も開催地やシティなどでテロでも起こるかのような欧米の報道やブログなどにはまず当然の市民の反応だと思いますが、どうも日本においては無情に思えるほど国民が従順すぎて感情まで失ったのかと不気味でなりません。最後にIMF欧州局長も世界貿易に依存するのは良くないとフェアトレードを主張するWTOの存在意義を危うくするかのような発言もあり、混沌とした雰囲気が感じられます。ただ、WTOがいうフェアトレードのフェアは何をもってフェアとするかの定義が微妙です。読み方によっては市場原理主義と指さされても反論しようがありませんから・・・縮小する経済にとってはフェアトレードか?国民の生活か?そもそもフェアトレードによって本当に全世界が一致団結できるのか?個人的にはIMF欧州局長の言葉が重いと感じます。とりあえずはG20が大成功すればWTOも面目躍如といったところでしょうか?

http://jp.reuters.com/article/topNews/idJPJAPAN-37235220090330
返信する

コメントを投稿

ブログ作成者から承認されるまでコメントは反映されません。

金市場」カテゴリの最新記事